豊後大野市の災害リスクと過去の被害記録|大野川流域の洪水・土砂災害に備える

著者:防災DB編集部 | 2026年4月時点のデータに基づく


大分県豊後大野市は、九州山地の北麓に位置し、大野川の源流域を抱える山間の市です。防災DB(bousaidb.jp)の解析によると、同市の統合リスクスコアは100点満点中83点(リスクレベル:極めて高い)。洪水スコア・高潮スコアがいずれも満点の100を記録しており、九州山地から流れ下る急流による洪水リスクと急峻な斜面に起因する土砂災害リスクが複合的に重なる地域です。

2020年7月の令和2年7月豪雨では市内8か所の河川が被害を受け、同年の台風第10号では建物2棟が一部損壊しました。さらに遡ると、昭和36年(1961年)の豪雨では市の前身となった旧千歳村を中心に甚大な水害が発生し、豊後大野市が公式にその記録を保存・公開するほどの規模でした。

この記事では、防災DBの125mメッシュ解析データと公的出典に基づき、豊後大野市における主要な災害リスクと過去の被害、そして今から取れる備えを詳しく解説します。


この街の災害リスクの特徴

九州山地の源流域がもたらす「急流河川」のリスク

豊後大野市の市域の大半は丘陵・山林で、市南部には九州最高峰クラスの祖母山(1,756m)・傾山(1,605m)がそびえます(出典:豊後大野市公式サイト・Wikipedia)。これらの山々を水源とする河川は標高差が大きく、短時間の集中豪雨でも急激に増水します。

防災DBの125mメッシュ解析では、豊後大野市内の洪水浸水想定域に168,386メッシュ(約1単位125m四方)が含まれており、これは市域の広大な範囲が洪水ハザードエリアとなっていることを示します。

地震確率

防災DBの125mメッシュデータによると、市内の30年以内に震度6弱以上が発生する確率は平均6.3%、最大値では64.2%に達するエリアが存在します。震度5弱以上については市内平均で74.8%、最大98.6%となっており、活断層の影響が比較的強い地域です(2024年時点のデータ)。

市域近隣に分布する活断層として、阿蘇外輪南麓断層群(想定M6.8、30年発生確率0.079%)と万年山−崩平山断層帯(想定M6.8)が確認されています。また2016年の熊本地震(Mw7.0)は隣接する熊本・大分にまたがる一連の地震で、豊後大野市でも揺れを観測しています(NIEDデータセットに当市分として未収録のため補記)。


過去の主要災害(詳細・年表)

令和2年7月豪雨(2020年7月)

2020年7月6日を中心とした「令和2年7月豪雨」では、豊後大野市内で8か所の河川が被害を受けました。同豪雨は九州全域に甚大な被害をもたらした記録的豪雨で、大野川水系でも各支流が増水しました(出典:令和2年7月豪雨に関する災害情報 最終報)。

令和2年台風第10号(2020年9月)

2020年9月6日上陸の台風第10号では、豊後大野市で建物一部損壊2棟が確認されました。当台風は「最強クラス」と予報された大型台風で、九州全域に大きな被害をもたらしました(出典:令和2年台風第10号に関する災害情報 最終報)。

昭和36年豪雨(1961年)

豊後大野市が公式に写真アーカイブを公開している「昭和36年豪雨」は、旧千歳村を中心に甚大な水害をもたらした歴史的な大水害です。市の記録によると、当時の被害は地域の記憶に深く刻まれており、現在も公式サイトで「写真が伝える災害の記憶」として保存・公開されています(出典:豊後大野市公式サイト bungo-ohno.jp/docs/2020120900071/)。

全災害年表(NIEDデータベース収録分)

災害名 種別 主な被害
2020 9 6 令和2年台風第10号 台風・暴風 一部損壊2棟
2020 7 6 令和2年7月豪雨 洪水 河川被害8件

※NIEDデータベースに収録された豊後大野市分の記録。昭和36年豪雨など歴史的災害はデータセット収録外のため別途記載。


洪水・浸水リスク:大野川流域の脅威

豊後大野市の洪水リスクの中心は大野川です。防災DBの125mメッシュ解析によると、大野川による浸水想定区域は市内で1,045メッシュ(約16km²相当)に及び、最大浸水深は20m、平均でも5.57mに達します。

浸水深のイメージとして:
- 0.5〜1m:成人の腰〜胸まで(歩行困難)
- 3m:1階の天井まで(2階への垂直避難が必要)
- 5m:2階の床上(2階への避難も危険)
- 20m:5〜6階建て建物に匹敵する水位(大規模氾濫時の深い場所)

大野川に次ぐリスクを持つのが大分川(346メッシュ、最大浸水深10m)と稲葉川(114メッシュ、最大浸水深20m)です。稲葉川は流路長に対して浸水想定が深く、急流河川の特性を示しています。

主要河川別の浸水想定まとめ

河川名 浸水想定メッシュ数 最大浸水深 平均浸水深 最大継続時間
大野川 1,045 20.0m 5.57m 72時間
大分川 346 10.0m 3.08m 72時間
稲葉川 114 20.0m 5.12m 24時間
七瀬川 101 5.0m 3.21m 72時間
久留須川 75 5.0m 2.78m 12時間
三重川 71 5.0m 1.05m 24時間
玉来川 62 10.0m 5.02m 24時間
臼杵川 49 5.0m 2.37m 12時間
緒方川 29 5.0m 2.38m 24時間

(出典:国土交通省洪水浸水想定区域データを基にした防災DBの125mメッシュ解析、2024年時点)

大野川と大分川は浸水継続時間が最大72時間と長く、氾濫後も長期間の浸水が続く可能性があります。避難は「洪水が始まってから」ではなく、気象警報の段階で早めに行動することが重要です。


土砂災害リスク:市内最大の危険因子

豊後大野市の土砂災害リスクは特に深刻です。防災DBの解析では、土砂災害ハザードメッシュ数が89,025メッシュに及んでいます。これは市内の広範囲が土砂災害の影響ゾーンに含まれることを意味します。

市の南部・東部は九州山地の急峻な斜面が連続しており、豪雨時には土石流・がけ崩れ・地すべりが同時多発するリスクがあります。大分県の土砂災害危険箇所情報(pref.oita.jp)でも、豊後大野市内の急傾斜地崩壊危険箇所・土石流危険渓流が多数指定されています。

土砂災害の特徴として押さえておきたい点:
- 発生前に前兆現象がある場合があるが、夜間・視界不良時は気づきにくい
- 発生から到達まで数十秒〜数分と非常に短時間
- 洪水と同時に発生することが多く、避難路が塞がれるリスクがある

土砂災害警戒情報が発表された場合は、夜間でも早めに避難することが命を守ります。


地震リスク:近隣の活断層と2016年熊本地震の教訓

近隣の主要活断層

防災DBのデータによると、豊後大野市域に影響する主な活断層は以下の通りです。

断層名 想定M 30年発生確率
阿蘇外輪南麓断層群 6.8 0.079%
万年山−崩平山断層帯 6.8 ほぼ0%

(出典:防災DBの断層マスタ、政府地震調査研究推進本部データに基づく)

2016年熊本地震の影響

2016年4月14日(前震M6.5)・16日(本震M7.3)に発生した熊本地震は、豊後大野市に隣接する熊本・大分の広域に甚大な被害をもたらしました。豊後大野市でも強い揺れを観測しており、九州山地を挟んだ活断層の連動性が改めて認識されています(NIEDデータセット未収録のため補記)。

市内の30年以内に震度6弱以上が発生する確率の最大値は64.2%(防災DBの125mメッシュ解析、2024年時点)。これは市内の一部エリアが特に地震リスクの高い地盤条件にあることを示します。市全体の平均地盤S波速度(AVS30)は597.6m/sで比較的良好な硬質地盤ですが、河川沿いの低地では液状化・増幅リスクも確認されています。


避難施設一覧(主要施設)

豊後大野市内には計144か所の避難施設が整備されています(2024年時点の防災DBデータ)。主な施設は以下の通りです。

施設名 住所 種別
三重中学校 三重町内田1050番地 避難所
三重東小学校 三重町小坂3959番地 避難所
三重第一小学校 三重町市場1062番地1 避難所
千歳中学校体育館 千歳町新殿809番地1 避難所
北部コミュニティセンター体育館 大野町中土師623番地 一次避難所

(出典:国土数値情報避難施設データに基づく防災DB

避難所の開設・閉鎖状況は災害発生時に変わります。事前に複数の避難所と経路を確認し、最新情報は豊後大野市公式サイトで確認してください。


今からできる備え

公式防災リソース(必須確認)

山間地ならではの備えのポイント

  1. 早めの避難:大野川などの急流河川は短時間で水位が急上昇します。大雨警報・土砂災害警戒情報が出たら、状況を見極めず早めに行動を
  2. 夜間避難の備え:夜間に土砂災害が発生することも多いため、ヘッドライト・携帯ラジオを備えておく
  3. 避難路の複数確保:土砂災害で道路が塞がれた場合の代替ルートを事前に確認する
  4. 非常用持出品の準備:最低3日分(推奨7日分)の食料・飲料水・常備薬
  5. 防災アプリの活用:「Yahoo!防災速報」「NHKニュース・防災」などで気象警報・避難情報を受信

豊後大野市の詳細なリスクデータは、防災DB(bousaidb.jp)でも確認できます。


データ出典

データ 出典
統合リスクスコア・洪水メッシュ・地震確率データ 防災DB(bousaidb.jp)125mメッシュ解析
洪水浸水想定 国土交通省 洪水浸水想定区域(防災DBが加工)
土砂災害危険箇所 国土交通省 国土数値情報(防災DBが加工)
過去の災害事例(2020年) 防災科学技術研究所(NIED)自然災害データベース
活断層データ 政府地震調査研究推進本部、防災DBが加工
地震確率 地震調査研究推進本部「全国地震動予測地図2024年版」
避難施設情報 国土数値情報 避難施設データ
昭和36年豪雨の記録 豊後大野市公式サイト(bungo-ohno.jp/docs/2020120900071/)
自治体防災情報 豊後大野市公式サイト(bungo-ohno.jp/hazardmap/)
地形・地域概況 豊後大野市公式サイト・Wikipedia

この記事は2026年4月時点の公開データに基づいています。最新の避難場所・ハザードマップは豊後大野市公式サイトで確認してください。データの誤りや追加情報があれば、防災DB(bousaidb.jp)までお知らせください。