スコアの決め方

住所を入れると出てくる「0〜100点」が、どうやって決まっているかを説明します。むずかしい計算式は各項目の「計算の詳細」に隠してあるので、まずは太字の部分だけ読めば全体像がつかめます。

最初に知ってほしい3つのこと

  1. 点数は「その場所の危険度」だけを表します。人が住んでいるか、お年寄りが多いか、といった事情は点数に混ぜません(参考情報として別に出します)。だから山奥の崖でも、危険なら高い点数になります。
  2. 点数は「もし被害が出たらどれくらいか」を確率で見積もっています。たとえば「浸水○mなら家がこれくらい壊れる」という、研究で分かっているデータをもとに計算します。当てずっぽうの数字ではありません。
  3. 国や自治体が公開している公式データだけを使っています。出典はこのページの最後に全部載せています。

点数の読み方

0が一番安全、100が一番危険です。色と5段階で分かるようにしています。

0-19
とても低い
20-39
低い
40-59
やや高い
60-79
高い
80-100
とても高い

大事な前提:点数は「125mごとのマス目」で出しています

日本全国を 125m × 125m(だいたい1.5ヘクタール、サッカー場2面ほど)のマス目に区切り、マスごとに点数を計算しています。住所や地図のピンは、その点が入っている「マス」の点数を表示します。

そのため、こんなことが起こります:

あなたの家のすぐ下に危険な区域がなくても、同じマスの中(最大125m先)に土砂災害の警戒区域や浸水想定があれば、点数が付きます。マスの端の斜面だけが警戒区域、ということもあるからです。

逆に言うと、点数が高くても「自分の正確な位置」が危険区域の中とは限りません。正確な区域の境界は、お住まいの自治体のハザードマップで必ず確認してください。防災DBは「この一帯に注意すべき要素があるか」を素早く知るための入口です。

総合スコア(6つをまとめた点数)

地震・洪水・津波・高潮・土砂・液状化の6つを、次の考え方でまとめます。単純な平均だと「1つだけ飛び抜けて危険」が薄まってしまうので、それを防ぐ作り方にしています。

① 一番危険なものを重視(40%) — 6つの中で最も高い点数を大きく反映します。「一番の弱点」を見逃さないためです。

② 全体のバランス(40%) — 危険なものが複数あるほど高くなります。1つでも極端に低いと全体も下がる計算です。

③ 組み合わせの上乗せ(20%) — 連動して被害が大きくなる組み合わせ(地震×液状化、地震×津波、洪水×土砂)が同時に高いと、少し上乗せします。

計算の詳細(INFORM方式)
総合スコア = 最大ハザード × 0.4
+ 幾何平均(スコア>0のハザード) × 0.4
+ 複合ハザードボーナス × 0.2

EU/UNDRR の INFORM Risk Index を参考にした集約方式です。加重平均の「低い値が高い値を相殺してしまう」問題を避けています。

6つの災害、それぞれの点数の決め方

地震

「30年以内に強い揺れが来る確率」と「その土地の地盤の弱さ」を組み合わせ、建物がどれくらい壊れそうかを見積もって点数にします。やわらかい地盤ほど揺れが増幅されて高くなります。木造住宅が密集した地域は、火災の燃え広がりも考えて上乗せします。

計算の詳細

① J-SHIS「30年で震度6弱以上の確率」を年あたりの確率に直し、計測震度(4.5〜7.0)を推定。

② 地盤増幅率(ARV)で震度を補正(ΔI = 1.0 × log₁₀(ARV))。

③ 建物の構造・年代別のフラジリティ曲線 P(全壊)=Φ((SI−μ)/σ) で全壊確率を算出し、全国の建物比率で加重平均。

④ 木造密集市街地(国土数値情報A39)では延焼リスクで最大25%上乗せ。

根拠: 内閣府「南海トラフ巨大地震被害想定」(2013) / 村尾・山崎モデル

洪水(川のはんらん・内水)

想定される浸水の深さから、建物がどれくらい被害を受けるかを見積もります。深いほど高得点。水が長く引かない場所や、流れで家が倒される恐れがある区域は上乗せします。都市部の下水あふれ(内水はんらん)も対象です。

計算の詳細

浸水深→被害率を対数正規分布で算出(木造は1.5mで50%被害、RC造は3.0mで50%)。P(被害)=Φ((ln(depth)−μ)/σ)。

継続時間で補正(24h:+10% / 48h:+20% / 72h:+30%)。家屋倒壊等氾濫想定区域(A31a/b)で氾濫流+30%・河岸侵食+15%。外水がない地域は内水(A51)で算出。

根拠: 国交省「治水経済調査マニュアル」(R6改訂版)

津波

想定される津波の高さ(浸水深)から被害を見積もります。津波は波の力や漂流物の衝撃が大きいため、同じ深さでも洪水より厳しめに評価します。土地が高い場所ほど、実際に届く水深が下がるので点数も下がります。

計算の詳細

対数正規分布で全壊確率を算出(木造2.2m・RC造5.0mで50%全壊)。標高で実効浸水深を減衰(5m以上×0.5、20m以上×0.1)。

根拠: Suppasri et al. (2013) — 東日本大震災の25万棟調査データ

高潮

台風などで海面が上がって浸水する被害です。考え方は洪水と似ていますが、海水による腐食と波の力が加わるため、洪水より厳しめに評価します。

計算の詳細

洪水と同じ被害関数だが厳しいパラメータ(木造1.2mで50%被害)。標高補正も適用。

根拠: 国交省 治水経済調査マニュアル(高潮の章)

液状化

地震のときに、地盤がドロドロになって建物が傾く現象です。地盤のやわらかさと、その土地の成り立ち(砂地・埋立地など)から、液状化の起こりやすさを点数にします。強い揺れ(震度5強以上)で表面化することも考慮します。

計算の詳細

AVS30(地盤のS波速度)と表層地質から簡易LPIを推定。LPI 0-5→0-33点 / 5-15→33-67点 / 15+→67-100点。

根拠: Iwasaki et al. (1982) LPI / 若松 (2011) 液状化履歴マップ

土砂災害

土砂災害は、他の災害と少し決め方が違います。深さや確率ではなく、国が指定した「土砂災害警戒区域」の中かどうかで判断します。区域の中なら、その危険度(特別警戒=レッド、警戒=イエロー)と災害の種類(土石流・急傾斜・地すべり)で点数が決まります。区域の外なら0点です。

補足:区域の境界は法律で明確に引かれているので、「近くにあるから少し点を足す」ということはしません(洪水などは境界ぎりぎりの外側を控えめに拾いますが、土砂はしません)。ただし上で説明した通り判定は125mのマス単位なので、マスの中に区域が少しでもかかると点が付きます。自分の正確な位置が区域内かは、自治体のハザードマップでご確認ください。

計算の詳細

災害種別の破壊力(土石流1.0 > 急傾斜0.85 > 地すべり0.65)× 区域レベル(特別警戒95 / 警戒70 / 指定50)で基礎スコア。複数区域が重なる場合は密度補正を加算。

根拠: 土砂災害防止法に基づく区域分類(国土数値情報 A33/A46/A47)

境界ぎりぎりの場所について

マスの中心が浸水想定区域のすぐ外側にあるとき、洪水・津波・高潮については、隣のマス(125m以内)に区域があれば控えめに(×0.7)反映します。区域の縁での「点が急にゼロ」を防ぐためです。土砂災害はこの対象外で、区域の中か外かだけで判断します(区域の境界が法律で明確なため)。

使っているデータと参考文献

  1. 内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)」(2013)
  2. 国土交通省「治水経済調査マニュアル」(R6改訂版)
  3. Suppasri, A. et al. (2013). Building damage characteristics based on surveyed data and fragility curves of the 2011 Great East Japan tsunami. Natural Hazards, 67(2), 951-973
  4. Iwasaki, T. et al. (1982). A practical method for assessing soil liquefaction potential based on case studies at various sites in Japan. Proc. 2nd International Conference on Microzonation, 885-896
  5. INFORM Risk Index Methodology — EU Joint Research Centre / UNDRR
  6. Midorikawa, S. et al. (1994). New attenuation relations for peak ground acceleration and velocity considering effects of fault type and site condition. J. Struct. Constr. Eng.
  7. 国土数値情報(土砂災害警戒区域 A33 ほか、浸水想定区域、地盤データ)/ J-SHIS(防災科学技術研究所)/ 国土地理院 標高データ

防災DBの点数は防災対策のきっかけにするための参考情報です。重要な判断は、自治体のハザードマップや公式情報とあわせてご利用ください。