東みよし町には684年の白鳳地震から2011年の台風15号まで、実に76件の災害が記録されている。1,300年を超える災害史を持つ町だ。防災DBの統合リスクスコアは92点(極めて高い)。四国三郎と呼��れる吉野川の中流域に位置し、洪水・土砂災害・地震の三重リスクを抱えている。

東みよし町は2006年に三好町と三加茂町が合併して誕生した。人口約13,000人。北に阿讃山脈、南に四国山地の山々が迫り、その間を吉野川が東流する。町の中心部は吉野川沿いのわずかな平地に集中しており、この地形が水害リスクの根源となっている。

この町の災害リスクの特徴

四国三郎・吉野川が貫く町

吉野川は四国最長の一級河川(全長194km)で、利根川(坂東太郎)・筑後川(筑紫次郎)と並んで「四国三郎」と呼ばれる日本三大暴れ川のひとつだ。流域面積3,750km²の広大な集水域から集まる水が、東みよし町付近の狭い谷間を通過する。

この地形的特性が、洪水時に水位を急激に上昇させる。東みよし町の中心市街地は吉野川の氾濫原に形成されており、堤防が決壊すれば壊滅的な被害が予想される。

1,300年の災害記録が語る構造的リスク

東みよし町地域防災計画の資料編には、684年の白鳳地震(天武地震)をはじめとする古代からの災害記録が残されている。これは単なる歴史的事実ではない。同じ場所で繰り返し災害が起きてきたという、構造的なリスクの証拠だ。

主要な歴史地震だけでも以下が記録されている。

災害名 種別
684 白鳳(天武)地震 地震
887 五畿七道の地震 地震
1099 康和南海地震 地震
1361 正平南海地震 地震
1498 明応地震 地震
1605 慶長地震 地震
1707 宝永地震 地震
1854 安政南海地震 地震
1905 芸予地震 地震
1946 南海地震 地震

南海トラフ沿いの巨大地震が100〜150年周期で繰り返し発生していることが、この年表から明確に読み取れる。前回の南海地震(1946年)からすでに80年が経過しており、次の発生が近づいている。

地震リスク:南海トラフの影

防災DBの125mメッシュ解析による地震動予測(2024年時点)。

指標 平均値 最大値
30年以内に震度6弱以上の確率 28.5% 78.4%
30年以内に震度5弱以上の確率 80.2% 94.8%
表層地盤のS波速度(AVS30) 676.8 m/s

震度5弱以上が30年以内に約80%。吉野川沿いの沖積地盤では、AVS30の平均値(676.8m/s)よりも低い地点が存在し、揺れが増幅される可能性がある。

近代以降の主要災害

台風の常襲地帯

東みよし町の災害記録で最も目立つのは台風被害だ。76件の災害のうち過半数が台風・豪雨による風水害であり、近代以降だけでも以下の台風が町を襲っている。

災害名 備考
2011 台風15号 暴風・大雨
2011 台風12号 紀伊半島大水害
2011 台風6号 風水害
2009 台風9号 大雨
2005 台風14号 前線との複合
2004 台風23号 前線との複合
2004 台風16号 吉野川増水
2004 台風10・11号 四国直撃
1997 台風19号 風水害
1991 台風17・18・19号 連続台風
1967 昭和42年7月豪雨 豪雨災害
1961 第2室戸台風 四国直撃
1959 伊勢湾台風 全国的大災害
1954 洞爺丸台風 全国的大災害
1945 枕崎台風 終戦直後の大災害
1934 室戸台風 四国直撃

室戸台風(1934年)から第2室戸台風(1961年)、2004年の連続台風まで、四国を直撃する大型台風のたびに東みよし町は被害を受けてきた。2004年は台風10・11号、16号、23号と、1年間に3つの台風被害が記録されている点は見逃せない。

歴史的な大地震

東みよし町の災害記録には、684年の白鳳地震から1946年の南海地震まで、12回の地震が記録されている。これらの多くは南海トラフ沿いの巨大地震であり、東みよし町が南海トラフ地震の影響を繰り返し受けてきたことを示している。

1946年の南海地震(M8.0)では四国各地で甚大な被害が発生した。次の南海トラフ巨大地震はM8〜9クラスが想定されており、東みよし町でも震度6弱以上の揺れが予想されている。

洪水・浸水リスク ── 吉野川の最大想定浸水深は20m

防災DBの125mメッシュ解析による河川別浸水リスク。

河川名 浸水メッシュ数 最大浸水深 平均浸水深 最大浸水継続時間
吉野川 1,626 20.0m 5.18m 72時間
財田川 207 10.0m 2.40m 24時間
金倉川 187 5.0m 1.49m 72時間
土器川 159 5.0m 0.80m 24時間
綾川 132 5.0m 0.97m
香東川 103 10.0m 2.40m 12時間
高瀬川 43 5.0m 1.77m 72時間
貞光川 11 5.0m 4.55m 24時間

吉野川の最大想定浸水深20mは、4階建てビルの屋上に達する深さだ。これは想定最大規模の降雨が集水域全体に降った場合の極端なシナリオだが、平均浸水深5.18mでも「2階の床上が完全に水没」する深さであり、木造住宅は構造的に持ちこたえられない。

浸水継続時間72時間(3日間)は、吉野川の水が引くまでに丸3日かかることを意味する。東みよし町の中心市街地が浸水した場合、長期間にわたる避難生活を余儀なくされる。

国土交通省の吉野川浸水想定区域図でも、東みよし町の足代・昼間地区などが浸水想定区域に含まれている。

土砂災害リスク ── 158区域のハザードゾーン

東みよし町の土砂災害警戒区域は158区域。防災DBの125mメッシュ解析では20,563メッシュが土砂災害リスク域に該当する。

町域の北側(阿讃山脈側)と南側(四国山地側)の山間部に土砂災害の危険箇所が集中している。吉野川沿いの平地に人口が集中している一方で、その背後の山々は常に崩壊リスクを抱えている構図だ。

避難施設一覧

東みよし町には127か所の指定避難場所がある。主な施設は以下の通り。

施設名 住所 種別
ふれアリーナみよし 昼間1734 指定避難場所
ぶぶるパークみかも 西庄字横手1 指定避難場所
三加茂中学校 西庄字横手51 指定避難場所
三好中学校 昼間1893 指定避難場所
三好総合運動公園 足代3936-1 指定避難場所
三庄小学校 中庄1125 指定避難場所

出典:国土数値情報 避難施設データ(2022年時点)

今からできる備え

東みよし町は1,300年以上にわたって繰り返し災害に見舞われてきた町だ。吉野川の氾濫、台風、南海トラフ地震。いずれも「いつか来る」ではなく「必ず来る」災害だ。

確認すべきリンク

備えのポイント

吉野川の増水は上流域の降雨状況に大きく左右される。東みよし町で雨が降っていなくても、上流の山間部で集中豪雨が発生すれば急激に水位が上昇する。気象情報だけでなく、吉野川の上流域の降水量にも注意を払う必要がある。

吉野川沿いの低地に居住している場合、浸水想定深が5mを超える可能性がある。2階以上への垂直避難では不十分な場合があることを認識し、早めの水平避難を心がけてほしい。

防災DB(bousaidb.jp)では東みよし町の125mメッシュ単位の詳細なリスク情報を無料で確認できる。自宅がどの程度の浸水リスクにさらされているか、事前に把握しておくことが重要だ。

データ出典

出典 内容 時点
防災DB 統合リスクスコア・125mメッシュ解析 2024年時点
NIED 災害事例データベース 過去の災害記録(76件) 684〜2011年
東みよし町地域防災計画 資料編 歴史災害記録
国土交通省 吉野川浸水想定区域図 洪水浸水想定 2024年時点
東みよし町 ハザードマップ 洪水・土砂災害想定
徳島県 防災・減災マップ ハザードマップ 2024年時点
国土数値情報 避難施設データ 避難所位置・種別 2022年時点
地震調査研究推進本部 南海トラフ地震発生確率 2024年時点

本記事は防災DB編集部が作成しました。記載内容は各データソースの公開時点の情報に基づいており、最新の状況とは異なる場合があります。防災対策の判断にあたっては、必ず自治体の最新情報をご確認ください。