宮崎県都城市の災害リスクと過去の被害記録
宮崎県都城市は、防災DBの125mメッシュ解析において総合リスクスコア83(極めて高い)を記録した市です。国土交通省の災害データ(NIED)には1990年代以降だけで165件の災害記録が存在し、特に台風・豪雨による洪水被害は繰り返し発生しています。都城盆地に流れ込む大淀川水系の氾濫、霧島火山群由来の脆弱な地盤、そして地震リスクが重なる複合的な災害危険地帯です。
都城市の災害リスク概要(防災DB解析結果)
| リスク区分 | スコア(0-100) | 評価 |
|---|---|---|
| 総合リスク | 83 | 極めて高い |
| 洪水 | 100 | 最高レベル |
| 土砂災害 | 50 | 中程度 |
| 地震 | 85 | 高い |
| 液状化 | 20 | 低い |
防災DBによる125mメッシュ解析(2024年時点)。洪水スコア100は、大淀川の想定浸水区域が市内に約195,000メッシュ(約3,042km²相当)に及ぶことを反映しています。
なぜ都城市は洪水に弱いのか——盆地地形と大淀川の宿命
都城市は都城盆地の中央に位置します。この盆地は、霧島火山群の噴火活動に伴う地殻変動によって形成された地形で、周囲を山系に囲まれた受け皿状の地形が特徴です。
大淀川は宮崎県を代表する一級河川で、鹿児島県との県境付近を源流として北流し、都城盆地を横断して宮崎平野へ注ぎます。盆地内に雨水が集中しやすい地形に加え、上流の霧島山系が短時間に大量の雨をもたらすことが多く、大淀川の増水スピードは非常に速くなります。
防災DBの125mメッシュ解析では、大淀川だけで2,734メッシュ(約42.7km²)が浸水想定区域に含まれ、想定最大浸水深は10m(平均2.99m)に達します。10mの浸水深は2階建て住宅が完全に水没するレベルです。
主要河川の洪水リスク(防災DB 125mメッシュ解析・2024年時点)
| 河川名 | 浸水想定メッシュ数 | 想定最大浸水深 | 最大継続時間 |
|---|---|---|---|
| 大淀川 | 2,734 | 10.0m | 168時間 |
| 沖水川 | 723 | 5.0m | 168時間 |
| 萩原川 | 622 | 5.0m | 72時間 |
| 丸谷川 | 534 | 10.0m | 72時間 |
| 岩瀬川 | 363 | 10.0m | 72時間 |
| 広渡川 | 192 | 5.0m | 336時間 |
| 高崎川 | 252 | 5.0m | 72時間 |
| 東岳川 | 232 | 5.0m | 72時間 |
※浸水深の目安:0.5m以上で歩行困難、1m以上で自力脱出困難、3m以上で1階天井まで浸水、5m以上で2階床上まで浸水。
浸水が最大168〜336時間(7〜14日間)続く河川がある点も見逃せません。広渡川では最大336時間の継続浸水が想定されており、長期避難を強いられるシナリオが現実的に起こりえます。
過去の主要災害記録(詳細)
1997年9月 台風第19号——床上151棟、床下269棟
1997年(平成9年)9月14日、台風第19号が都城市に直撃しました。NIEDデータによれば、この台風では床上浸水151棟、床下浸水269棟、全壊1棟、負傷2名の被害が発生。大淀川の支流を含む36か所の河川で被害が確認されました。
都城盆地への台風の直撃コースと、秋雨前線の影響が重なって降雨量が急増したことが被害を拡大させたとみられています。
2004年8月 台風第16号——負傷5名、床上43棟
2004年(平成16年)8月28日の台風第16号では、床上浸水43棟、床下浸水69棟、半壊1棟、一部損壊9棟、負傷5名、河川被害30か所を記録しました。この年は同じく9月に台風第18号(河川被害4か所)も来襲しており、2004年は立て続けに台風被害を受けた年として記録されています。
2005年9月 台風第14号——激甚災害指定、都城市で最大規模の被害
都城市の台風被害史上、最も深刻だったのが2005年(平成17年)9月の台風第14号です。
- 床上浸水70棟、床下浸水159棟
- 全壊2棟、半壊81棟、一部損壊8棟
- 負傷2名
- 河川被害66か所
政府は台風第14号を激甚災害に指定。降雨量が平年の数倍に達し、大淀川では吾妻町付近で左岸堤防が越水寸前まで上昇しました。宮崎市と都城市を結ぶJR日豊本線・国道269号線・宮崎自動車道が完全に寸断され、都城市は一時、陸の孤島に近い状態となりました(出典:宮崎市「平成17年台風14号災害概要」)。自衛隊の災害派遣要請が発動されるなど、当時の被害の深刻さが伝わります。
2006年7月 平成18年7月豪雨
2006年(平成18年)7月21日の豪雨では、床上浸水7棟、河川被害14か所を記録。連続する台風・豪雨被害の中で、都城市の治水対策の重要性が改めて浮き彫りになりました。
2019〜2020年——近年も続く水害
2019年(令和元年)6月の大雨では床上1棟・床下16棟の浸水が発生。2020年(令和2年)7月3日の令和2年7月豪雨では全壊1棟・床下浸水2棟の被害が記録されています。同年9月の台風第10号も都城市を直撃しましたが、同台風については具体的な棟数被害の記録は現時点のデータセットに含まれていません。
全災害年表(抜粋:主な被害発生イベント、NIEDデータより)
| 年 | 月 | 災害名・気象名 | 主な被害 |
|---|---|---|---|
| 1997 | 9 | 台風第19号 | 負傷2、床上151、床下269、全壊1、河川36 |
| 2004 | 8 | 台風第16号 | 負傷5、床上43、床下69、半壊1、河川30 |
| 2005 | 9 | 台風第14号(激甚) | 負傷2、床上70、床下159、全壊2、半壊81、河川66 |
| 2006 | 7 | 平成18年7月豪雨 | 負傷1、床上7、河川14 |
| 2007 | 7 | 台風第4号 | 負傷3、河川3 |
| 2019 | 6 | 令和元年大雨 | 床上1、床下16 |
| 2020 | 7 | 令和2年7月豪雨 | 全壊1、床下2 |
| 2020 | 9 | 台風第10号 | 被害確認 |
出典:NIED(防災科学技術研究所)自然災害データベース、都城市地域防災計画資料編
土砂災害リスク——霧島火山由来の脆弱な斜面
防災DBの125mメッシュ解析では、都城市の土砂災害ハザード区域が151,583メッシュに及ぶことが判明しています。これは市域の相当部分が土砂災害警戒区域・特別警戒区域に含まれることを意味します(土砂災害スコア50)。
霧島山系(新燃岳など)の火山活動によって堆積した火山灰や火山岩が風化・崩壊しやすい地層を形成しており、大雨の際に斜面崩壊が起きやすい地質的背景があります。市が公表する土砂災害ハザードマップとあわせて、居住地周辺の警戒区域を必ず確認してください。
地震リスク——日向灘と鹿児島湾断層帯
都城市の地震リスクは高く、防災DBの解析では震度6弱以上の30年確率が平均6.39%、最大44.39%に達するメッシュが存在します(2024年時点)。市内全体の平均値(6.39%)は日本の多くの内陸都市より高く、特定の地域では約2回に1回の確率(50年換算)で強い揺れを経験する計算になります。
近傍には以下の活断層が存在します(防災DB・fault_masterより):
| 断層名 | 想定M | 30年発生確率 |
|---|---|---|
| 鹿児島湾東縁断層帯 | 6.9 | 0.52% |
| 鹿児島湾西縁断層帯 | 6.8 | 0.05% |
また、都城市は日向灘を震源とする大規模地震の影響を受ける地域でもあります。南海トラフ地震が発生した場合にも強い揺れが想定されており、地震への備えは必須です。地盤については平均Vs30(表層地盤のS波速度)が478.3m/sと比較的硬い地盤ですが、盆地内の低地では軟弱地盤箇所も存在します。
都城市の指定避難施設(主要施設)
都城市内には計116か所の指定避難所が設置されています(2024年時点、防災DBデータより)。
| 施設名 | 住所 | 種別 |
|---|---|---|
| 南九州大学都城キャンパス | 都城市立野町3764-1 | 一次避難所 |
| 中央公民館 | 都城市姫城町7-8 | 一次避難所 |
| 乙房小学校 | 都城市乙房町1707 | 一次避難所 |
| 五十市地区公民館 | 都城市五十町2284 | 福祉避難所・一次避難所 |
| 中郷地区市民交流センター | 都城市安久町6623 | 福祉避難所・一次避難所 |
| 吉之元小学校 | 都城市吉之元町4518 | 一次避難所 |
| 夏尾小学校 | 都城市夏尾町6644 | 一次避難所 |
上記は代表的な施設です。お住まいに最も近い避難所は、都城市のWEB版防災マップで確認してください。
今からできる備え
公式ハザードマップで自宅リスクを確認する
都城市が公開しているWEB版防災マップ(https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/hazardmap/index.html)では、洪水・土砂災害・地震動の区域を地図上で確認できます。まず自宅・職場の位置を確認し、浸水深や土砂災害警戒区域の有無をチェックしてください。
公式防災情報ページ:
- 都城市防災マップポータル:https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/life/1/10/57/
- 都城市ハザードマップ(PDF):https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/uploaded/attachment/20616.pdf
大淀川の水位情報をリアルタイムで把握する
台風・大雨のたびに氾濫リスクが高まる大淀川については、国土交通省の川の防災情報(https://www.river.go.jp/)でリアルタイムの水位を確認できます。避難判断の目安として活用してください。
備蓄と避難経路の確認
- 最低7日分の食料・飲料水(台風被害で道路が寸断された場合を想定)
- 避難場所への経路を昼夜・増水時それぞれで確認
- 家族との連絡方法・集合場所の事前共有
- 都城市の防災無線・防災メールへの登録
データ出典
| 出典 | 内容 | 取得・公表時点 |
|---|---|---|
| 防災DB(bousaidb.jp) 125mメッシュ解析 | 洪水浸水想定・土砂災害・地震確率 | 2024年 |
| NIED自然災害データベース | 過去の災害事例・被害記録 | 〜2020年 |
| 都城市地域防災計画資料編 | 市内の災害履歴(1990年代〜) | 都城市公表資料 |
| 地震調査研究推進本部 | 活断層情報・発生確率 | 2024年版 |
| 宮崎市「平成17年台風14号災害概要」 | 台風14号の被害詳細 | 2005年 |
| 国土交通省 大淀川流域資料 | 大淀川の流域・治水情報 | 公表資料 |
著者:防災DB編集部 / 防災DB(bousaidb.jp)
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