愛知県東栄町の災害リスク完全ガイド|洪水スコア100・土砂・地震の脅威と避難場所42箇所

愛知県北設楽郡東栄町は、防災DBの統合リスク評価でスコア92・リスクレベル「極めて高い」を記録する自治体だ。町の93%が山地・森林に覆われた奥三河の秘境で、急峻な谷を縫うように流れる振草川・大入川が頻繁に増水し、山腹の崩壊リスクも常につきまとう。南海トラフ巨大地震による強震の確率も高く、複数の自然災害リスクが重なる地域だ。

自分や家族がどのリスクにさらされているかを正確に把握するために、防災DB(bousaidb.jp)で住所を入力して確認してほしい。


東栄町の災害リスク概要

リスク区分 スコア(0-100) 評価
洪水・浸水 100 想定浸水深10m以上のエリアあり
土砂災害 50 ハザード区域9箇所・リスクメッシュ1,048
地震(震度6弱以上30年確率) ※最大73.6% 南海トラフ巨大地震の影響圏
統合リスクスコア 92 極めて高い

※地震スコアは他リスクと異なる算出方式のため参考値として表示。


なぜ東栄町は水害・土砂災害に弱いのか

山の町の宿命——93%が森林に覆われた急峻な地形

東栄町は愛知県の最東端、静岡県との県境に接する奥三河の山岳地帯に位置する。面積は約111km²のうち93%が山地・森林で占められ、居住可能な平地はほとんどない。妙神山(1,016m)をはじめ標高700〜1,000m級の山々が連なり、それぞれの山から無数の渓流が急な斜面を駆け下る。

この地形が持つ問題の本質は「集水速度の速さ」にある。山に降った雨は土壌にほとんど吸収されず、急傾斜の谷筋を伝って短時間で河川に流れ込む。平野部に比べて洪水の到達が何倍も早く、気象警報が出てから自宅の浸水まで数十分しかないケースも起こりうる。

振草川・大入川——増水が速い天竜川水系の急流

東栄町を流れる主要河川は振草川(ふりくさがわ)大入川(おおいりかわ)だ。どちらも天竜川水系に属する急流河川で、上流域の山岳地帯に集中豪雨が降ると、数時間のうちに水位が急上昇する。振草川は町の西部を縦断し、大入川は中央部を東西に流れて振草川に合流する。

防災DBの125mメッシュ解析では、これらの河川に隣接するメッシュで最大浸水深10m以上が想定されている。浸水深10mとは3〜4階建て相当の水位であり、建物の上層階に逃げても命が危うい水準だ。川沿いの低地に住む住民にとって、大雨時の早期避難は生死を分ける判断になる。

浸水深 具体的なイメージ
50cm未満 床下浸水。歩行が困難になる
50〜100cm 床上浸水。1階の家財が水没
1〜2m 1階天井付近まで浸水。脱出が困難
3〜5m 2階床上まで浸水
10m以上 3〜4階建て相当の浸水深。建物ごと流される危険

過去の主要災害

令和2年7月豪雨(2020年7月5日)

NIEDの自然災害事例データベースに、東栄町での「令和2年7月豪雨」被害が記録されている。2020年7月4〜7日にかけて九州から東海にかけて記録的な豪雨が続き、東栄町でも同豪雨の影響下に置かれた(内閣府「令和2年7月豪雨による被害状況等について(第6報)」)。

この豪雨は全国で死者・行方不明者86名、全壊建物1,627棟の被害をもたらした。東栄町固有の被害規模はNIEDデータには数値として収録されていないが、奥三河地域一帯で道路陥没・斜面崩壊が発生したことが報告されている。

奥三河の水害の歴史——繰り返されてきた急流氾濫

東栄町が属する奥三河地域は、愛知県内でも屈指の多雨地帯だ。太平洋から湿った気流が山地に衝突して雨量が集中し、梅雨前線の停滞期や台風接近時に特に顕著な増水が起きやすい。振草川・大入川の流域では、昭和期から平成にかけて繰り返し洪水・土砂崩れの被害が記録されてきた。

NIEDデータセットへの収録が少ない理由の一つとして、山間僻地ゆえの記録の漏れ・散逸が考えられる。被害の実態は行政記録や地域の記憶に残されているが、全国統計に反映されにくい構造がある。


土砂災害リスク——急傾斜地の崩壊・土石流

警戒区域9箇所・リスクメッシュ1,048

防災DBの集計では、東栄町の土砂災害ハザード区域は9箇所(DBに収録されているもの)、125mメッシュ解析によるリスクメッシュは1,048に達する。

町面積の大半が急傾斜地であるため、土砂災害の潜在リスクは収録数字以上に広範囲に存在する。特に危険なのは以下の3種類だ:

急傾斜地崩壊(山崩れ):長雨で地盤が飽和した際や、強い地震の揺れによって山腹が一気に崩れる現象。東栄町の山地では随所に急傾斜地が存在する。

土石流:崩壊した土砂と水が混合して谷筋を高速で流れ下る現象。振草川・大入川の支流谷では、豪雨時に土石流発生の危険がある。

地すべり:緩やかな傾斜地が徐々に動く現象。長期間の降雨が続いた後、または地震後に発生しやすい。

愛知県の土砂災害警戒情報を確認する

愛知県は大雨が予想される際に「土砂災害警戒情報」を市町村ごとに発表する。東栄町に警戒情報が出た場合、土砂災害リスクの高いエリアに住む住民はためらわず避難を開始することが求められる。愛知県防災気象情報サイト(https://www.aichi-sanbou.jp/)でリアルタイムに確認できる。


地震リスク——南海トラフ巨大地震の影響圏

30年以内の震度6弱確率:最大73.6%

防災DBの地震確率データ(地震調査研究推進本部「全国地震動予測地図2024年版」に基づく125mメッシュ解析)によると、東栄町では:

  • 震度5弱以上の30年確率:平均79.8%、最大88.7%
  • 震度6弱以上の30年確率:平均30.4%、最大73.6%

震度6弱は「立っていることが困難」「固定していない家具が倒れる」水準で、老朽建築物の倒壊が始まるレベルだ。メッシュによっては73%を超える地点があるという数字は、東栄町での巨大地震発生が「もしも」ではなく「いつか必ず」起きる事象であることを示している。

南海トラフ地震後の二次災害——山地での土砂崩壊

東栄町のような急峻な山地では、大地震の後に新たな危険が生まれる。強い揺れで地盤が緩んだ斜面は、その後の降雨で一気に崩壊しやすくなるためだ。2016年の熊本地震でも、震後の余震と降雨が組み合わさって多数の斜面崩壊が発生した。

南海トラフ地震発生後は、川沿いや急傾斜地に近い場所への立ち入りを極力避け、行政の安全確認が出るまで待機することが重要だ。また、余震が続く中での夜間移動は転倒・転落のリスクも高まるため、早期の避難所入りが望ましい。


東栄町の避難場所一覧

東栄町には合計42箇所の避難場所が整備されており、うち19箇所が「広域避難場所」として指定されている。

広域避難場所(主要19箇所)

施設名 住所 施設種別
東栄中学校 大字本郷字宮平1-1 避難所・広域避難場所・一時避難場所
東栄小学校 大字本郷字東万場1 避難所・広域避難場所・一時避難場所
産業会館 大字本郷字南万場14 避難所・広域避難場所・一時避難場所
本郷保育園 大字本郷字大森3-7 避難所・広域避難場所・一時避難場所
老人憩いの家百寿荘 大字下田字平井42-1 避難所・広域避難場所・一時避難場所
下川保育園 大字下田字平井42 避難所・広域避難場所・一時避難場所
旧東部小学校 大字下田字野中14-1 避難所・広域避難場所・一時避難場所
旧月小学校 大字月字向平5-3 避難所・広域避難場所・一時避難場所
月集会所 大字月字正廣平2-3 避難所・広域避難場所・一時避難場所
旧御殿保育園 大字中設楽字松久保11-1 避難所・広域避難場所・一時避難場所
中設楽生活改善センター 大字中設楽字中貝津12-3 避難所・広域避難場所・一時避難場所
三輪コミュニティーセンター 大字三輪字市原64-3 避難所・広域避難場所・一時避難場所
旧奈根小学校 大字三輪字市原109 避難所・広域避難場所・一時避難場所
旧足込小学校 大字足込字田村41 避難所・広域避難場所・一時避難場所
旧粟代小学校 大字振草字粟代宮平9 避難所・広域避難場所・一時避難場所
古戸集会所 大字振草字古戸寺脇17 避難所・広域避難場所・一時避難場所
小林集会所 大字振草字小林下日向15 避難所・広域避難場所・一時避難場所
旧御園小学校 大字御園字坂場124-3 避難所・広域避難場所・一時避難場所
森林体験交流センター 大字御園字野地91-1 避難所・広域避難場所・一時避難場所

山間部避難の注意点

東栄町での大規模水害・土砂災害時には、道路の崩壊・冠水によって町内の各地区が孤立する可能性がある。2020年豪雨でも各地の山間部集落が孤立した事例が全国で報告されている。

自宅から最寄りの避難場所までの経路を複数把握し、土砂災害リスクの高いルートを避ける経路を事前に確認しておくことが不可欠だ。また、要介護者・障害者など自力避難が困難な住民については、隣人との相互支援体制(共助)の事前構築が重要になる。


今からできる備え

ハザードマップで自宅のリスクを確認する

まず行動すべきは「自宅がどのリスクゾーンに入るか」を確認することだ。

  • 東栄町防災マップ(公式PDF):http://www.town.toei.aichi.jp/secure/1107/bosaimap.pdf
  • わがまちハザードマップ(国土交通省):https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/index.html?citycode=23562
  • 防災DB 東栄町の詳細データhttps://bousaidb.jp/(住所入力で125mメッシュ解析結果を確認)

早期避難のタイミングを決めておく

「大雨警報が出たら」「土砂災害警戒情報が出たら」など、避難を開始するトリガーを事前に家族で決めておくことが重要だ。「もう少し様子を見よう」という判断の先延ばしが命取りになる事例は、過去の水害でたびたび繰り返されている。

3日分以上の備蓄を用意する

道路が寸断されると支援が届くまでに数日かかる可能性がある。食料・水(1人1日3リットル)・常備薬・懐中電灯・携帯充電器を最低3日分、できれば1週間分備蓄しておきたい。

安否確認方法を家族で共有する

  • 災害用伝言ダイヤル171:電話回線が混雑しても音声メッセージを残せる
  • 災害用伝言板(web171):インターネット経由でメッセージを確認・投稿
  • NHKラジオ:停電時でも電池式ラジオで情報を得られる

データ出典・参考資料

データ 出典
統合リスクスコア・洪水・土砂・地震データ 防災DB(bousaidb.jp)・125mメッシュ解析(2024〜2025年時点)
地震動確率(震度5弱以上・6弱以上30年確率) 地震調査研究推進本部「全国地震動予測地図2024年版」
過去の災害事例 防災科学技術研究所(NIED)自然災害データベース
令和2年7月豪雨の広域被害 内閣府「令和2年7月豪雨による被害状況等について(第6報)」(2020年)
避難場所データ 国土数値情報「避難施設」(国土交通省)
東栄町の地形・河川情報 東栄町公式ウェブサイト(https://www.town.toei.aichi.jp/)、Wikipedia「東栄町」
ハザードマップ わがまちハザードマップ(国土交通省)
土砂災害警戒情報 愛知県防災気象情報(https://www.aichi-sanbou.jp/)

著者:防災DB編集部
本記事は2024〜2025年時点のデータをもとに作成しています。最新情報は各自治体・公的機関のウェブサイトでご確認ください。掲載データに誤りや更新情報がある場合は防災DBへのフィードバックをお願いします。