四街道市の災害リスクと過去の被害記録|高崎川・都川・利根川の洪水リスクと地震対策を徹底解説

千葉県のほぼ中心に位置する四街道市は、防災DBの統合リスクスコアで89点(極めて高い)と評価されている。洪水・地震・高潮のいずれも最高スコアを記録しており、一見「内陸部の小都市」という印象とは裏腹に、複合的な災害リスクを抱える地域だ。1983年の市制施行から40年以上にわたる災害記録は72件にのぼり、台風が来るたびに浸水被害が繰り返されてきた。


なぜ四街道市はリスクが「極めて高い」のか

四街道市は下総台地の台地と谷津田(やつだ)が複雑に入り組む地形に立地している。市の中心部は台地の上にあり排水性がよいが、台地を刻む河川沿いの低地には住宅地や農地が広がる。この地形が、洪水・液状化の脆弱性を生み出している。

防災DBの125mメッシュ解析では、洪水スコア100・地震スコア100・高潮スコア100という全項目最高値を記録した(2024年時点)。30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は平均61.77%、最大では96.12%に達するメッシュも存在する。震度5弱以上の発生確率はほぼ100%であり、地震リスクは「いつ起きるか」の問題だ。

リスク項目 スコア 補足
洪水 100 最大浸水深5m以上、継続336時間
地震 100 30年以内震度6弱以上:最大96.1%
高潮・津波 100 高潮浸水想定1,603メッシュ
土砂災害 50 警戒区域2箇所
液状化 40 低地部に危険箇所あり
総合 89 極めて高い

過去の主要災害

2019年:令和元年房総半島台風(台風第15号)——過去最大の建物被害

2019年9月9日、令和元年房総半島台風(台風15号)が千葉県に上陸し、四街道市では半壊3棟・一部損壊506棟・床下浸水1棟の被害が記録された。一部損壊506棟は、四街道市の近代的な災害記録の中で最大規模の建物被害となった。

台風は千葉市付近に上陸した後、県内を縦断。風速35m/sを超える暴風が吹き荒れ、屋根瓦の飛散・外壁の損傷・倒木が相次いだ。市内では大規模な停電が発生し、電力復旧まで数日を要した地区もあった。同年10月に上陸した台風19号(令和元年東日本台風)も追い打ちをかけ、四街道市は千葉県の「災害救助法適用市」に指定された(出典:令和元年台風第15号等による災害救助法適用について)。

1949年:キティ台風——全壊18棟の戦後最大の台風被害

1949年9月、キティ台風が関東地方を直撃した。四街道市域では全壊18棟の被害が記録されており、戦後の台風被害としては最大規模だった(出典:市制施行三〇周年記念誌 四街道の歴史)。当時は現在のような治水施設が整備されておらず、台地上の農村集落は台風の暴風に無防備な状態だった。

1923年:関東大震災——台地上でも被害が生じた巨大地震

1923年9月1日に発生した関東地震(M7.9)は、四街道市域にも震度5〜6程度の揺れをもたらした。市制施行三〇周年記念誌には被害記録が残されているが、津波の直接被害はなかったとされる。内陸部とはいえ地震動による建物損壊は発生しており、当時の下総台地でも揺れの影響が及んだことがわかる。

1855年:江戸地震——安政の大地震の波及

1855年11月11日の江戸地震(安政江戸地震)も四街道市域に影響を与えた。この地震はM6.9〜7.0と推定され、下総台地を含む関東各地で被害が生じた(出典:市制施行三〇周年記念誌 四街道の歴史)。

1991年:台風21号——床上浸水3・床下14

1991年10月13日の台風21号は、四街道市内に床上浸水3件・床下浸水14件をもたらした。同年は台風17・18・19号も立て続けに来襲しており、9月の台風18号でも床下浸水13件が記録されている。特に市内低地部の水田・住宅地で被害が集中した。

1989年:床上浸水1・床下浸水20

1989年9月7日の風水害では、床上浸水1件・床下浸水20件が記録された。過去最大級の床下浸水件数のひとつであり、この時期の四街道市では河川の溢水被害が頻発していたことがわかる。


過去の災害年表

年月 災害名 主な被害
2019年9月 令和元年房総半島台風 一部損壊506棟、半壊3棟
2013年10月 平成25年台風26号 床上浸水2件、床下4件
2011年9月 台風第15号 風水害被害
1996年9月 台風17号 床下浸水26件、半壊1棟
1991年10月 台風21号 床上浸水3件、床下14件
1989年9月 風水害 床上浸水1件、床下20件
1988年7月 大雨 床上浸水3件、床下19件
1949年9月 キティ台風 全壊18棟
1923年9月 関東大震災 建物損壊(詳細不明)
1855年11月 江戸地震(安政) 被害あり
1783年 浅間山天明噴火 火山灰降下の可能性

(出典:防災科学技術研究所NIEDデータセット、四街道市地域防災計画 風水害等編、市制施行三〇周年記念誌)


洪水リスク——なぜ高崎川・利根川がこれほど危険なのか

防災DBの125mメッシュ解析によると、四街道市内には7河川の洪水浸水想定区域が存在する。

河川名 影響メッシュ数 最大浸水深 平均浸水深 最大継続時間
高崎川 1,143 5m以上 1.26m 336時間(14日間)
都川 697 5m以上 0.87m 168時間(7日間)
利根川 530 5m以上 1.57m 336時間(14日間)
勝田川 163 5m以上 1.03m 336時間(14日間)
生実川 10 5m以上 0.95m 168時間
浜野川 9 5m以上 1.28m 336時間
村田川 2 0.5m 0.5m 168時間

最も広い浸水域を持つのは高崎川で、1,143メッシュ(約17.8km²相当)の浸水が想定される。利根川の氾濫では平均浸水深が1.57mに達し、1階の床上浸水が標準的に起こりうる深さだ。

浸水深の目安として覚えておきたい:
- 0.5m:膝下〜腰程度。歩行困難になる
- 1.0m:1階床上浸水。家具が水没し始める
- 2.0m:1階天井まで水没。2階への避難が必要
- 5.0m以上:2階もほぼ水没。早期の垂直避難または立退き避難が唯一の選択肢

四街道市の浸水継続時間の長さも深刻だ。高崎川・利根川の浸水域は最大336時間(14日間)浸水が継続すると想定されており、水が引くまで長期避難が必要になる。


地震リスク——首都直下地震の影響圏に入る

四街道市の30年以内震度6弱以上確率は平均61.77%、市内最大値は96.12%(防災DB 2024年データ)。これは全国平均と比べて極めて高い水準だ。

地盤の平均S波速度(Avs30)は249.2m/s。200〜300m/s程度の地盤は「やや軟弱」に分類され、地震動の増幅が起こりやすい。台地部は火山灰質ローム(関東ローム)に覆われており、液状化は起きにくいが、谷津田・河川低地部は軟弱地盤で液状化の危険がある。

四街道市に直接影響する活断層は防災DBには登録されていないが、相模トラフ・南海トラフ地震による長周期地震動、および首都直下型地震(M7クラス)の影響を受ける可能性は否定できない。2011年の東日本大震災でも千葉県内では液状化被害が多発しており、特に河川低地部では注意が必要だ。


土砂災害・高潮リスク

土砂災害

千葉県の土砂災害警戒区域指定データによると、四街道市には土砂災害危険箇所が2箇所ある。市の面積(34.95km²)に対してそれほど多くないが、台地を刻む谷部の急斜面が崩壊する危険性がある。防災DBの土砂災害メッシュは112メッシュ(約1.75km²)に相当する。

高潮・河川氾濫

防災DBの高潮・津波リスクメッシュは1,603メッシュに達する。四街道市は直接海岸に面していないが、市内を流れる河川が東京湾に注ぐ水系であるため、台風時の高潮が河川を遡上するリスクがある。特に、都川・高崎川の下流域(千葉市との市境付近)では高潮の影響が及ぶ可能性がある。


避難施設一覧

四街道市には25の避難場所が指定されており(防災DBデータより)、うち広域避難場所は1箇所。

施設名 住所 種別
四街道総合公園 四街道市和田161 広域避難場所
四街道小学校 四街道市四街道1557 避難場所
四街道中学校 四街道市めいわ1-3 避難場所
四街道中央公園 四街道市鹿渡無番地 避難場所
四街道高等学校 四街道市鹿渡809-2 避難場所
四街道北中学校 四街道市栗山1055 避難場所
四街道北高等学校 四街道市栗山1055-4 避難場所
四街道西中学校 四街道市大日23 避難場所
中央小学校 四街道市鹿渡917 避難場所
大日小学校 四街道市大日978 避難場所
山梨小学校 四街道市旭ヶ丘1-9-12 避難場所
旭小学校 四街道市山梨1485 避難場所
吉岡小学校 四街道市鷹の台3-2-3 避難場所
和良比小学校 四街道市美しが丘3-12 避難場所
栗山小学校 四街道市つくし座3-1-8 避難場所
八木原小学校 四街道市千代田5-4 避難場所
南小学校 四街道市物井1536 避難場所
みそら小学校 四街道市みそら2-13 避難場所
四和小学校 四街道市和良比228 避難場所
千代田中学校 四街道市千代田5-27 避難場所
旭中学校 四街道市南波佐間267 避難場所
千葉敬愛高等学校 四街道市四街道1522 避難場所
千葉盲学校 四街道市大日468-1 避難場所
愛国学園大学付属四街道高校 四街道市四街道1532-16 避難場所
四街道市消防資料館 四街道市吉岡474-1 避難場所

広域避難場所の四街道総合公園(四街道市和田161)は、大規模火災等の際に住民が集まる拠点となっている。ただし、洪水発生時は低地の避難場所は使えない場合があるため、自宅がハザードマップ上の浸水想定区域内にある場合は立退き避難を第一に考えることが重要だ。


今からできる備えと公式防災情報

自治体公式リソース

四街道市では、ハザードマップを大幅に更新した「四街道市防災ハザードマップ(2025年改訂版)」を公開している。洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域・避難所情報が一覧できる。

  • 四街道市防災ハザードマップ(冊子版・Web版)
    https://www.city.yotsukaido.chiba.jp/kurashi/bohan/bosai/hazardmap/hzmap.html

  • 四街道市防災ハザードマップ(Web版・インタラクティブ地図)
    https://www.city.yotsukaido.chiba.jp/hazardmap/agree.html

  • 四街道市防災・くらし情報(公式)
    https://www.city.yotsukaido.chiba.jp/kurashi/bohan/bosai/hzmap.html

チェックリスト

  • [ ] 自宅がハザードマップ上の浸水想定区域内かどうかを確認する
  • [ ] 最寄りの避難場所と、複数の避難ルートを確認する
  • [ ] 台風シーズン前(5〜6月)に備蓄(水・食料3日分以上)を点検する
  • [ ] 緊急連絡先を家族で共有する
  • [ ] 防災DB(https://bousaidb.jp/)で自宅周辺の詳細なリスクデータを確認する

データ出典

本記事のデータは以下の公的データソースに基づいている。

データ 出典 時点
統合リスクスコア・メッシュデータ 防災DB(bousaidb.jp) 125mメッシュ解析 2024年
過去の災害記録 防災科学技術研究所(NIED)自然災害データベース 1783〜2019年
過去の災害記録(詳細) 四街道市地域防災計画 風水害等編
過去の災害記録(近代以前) 市制施行三〇周年記念誌 四街道の歴史
洪水浸水想定区域 国土交通省 水管理・国土保全局
土砂災害警戒区域 千葉県 土砂災害警戒区域等一覧
避難場所情報 国土数値情報 避難施設データ(nlftp_p20)
地震発生確率 J-SHIS(地震ハザードステーション)2024年版 2024年

記事作成:防災DB編集部 / 最終更新:2026年4月