花輪東断層帯の地震リスク|秋田県鹿角市・岩手県八幡平市の活断層

花輪東断層帯は、秋田県鹿角市(旧花輪町を含む)から岩手県八幡平市にかけて、奥羽山脈の西麓を走る活断層です。地震調査研究推進本部(地震本部)の長期評価では、今後30年以内に約0.75%の確率でM6.5規模の地震を引き起こすと評価されています。

鹿角市・八幡平市は東北内陸の過疎山岳地域であり、2008年岩手・宮城内陸地震(M7.2)が隣接する内陸部で発生した記憶も新しい地域です。山岳地形による土砂崩れ・孤立集落リスクと、豪雪地帯特有の冬期防災課題が重なる地域として注目されます。

花輪東断層帯の基本情報

項目 内容
位置 秋田県鹿角市〜岩手県八幡平市(奥羽山脈西麓)
断層の延長 約22km
想定地震規模 M6.5
断層型 逆断層系
特徴 奥羽山脈西縁断層群の一部

花輪東断層帯は奥羽山脈の形成に関与した断層系の一部です。奥羽山脈は東北地方の背骨をなす山脈であり、その西縁には盆地を区切る逆断層が多数発達しています。花輪(鹿角)盆地の東側を画する断層としてこの地域の地形形成に大きく関与してきました。

地震発生確率

期間 発生確率
30年以内 約0.75%
50年以内 約1.2%
100年以内 約2.4%

なぜ注目すべきか

2008年岩手・宮城内陸地震の教訓

2008年6月に発生した岩手・宮城内陸地震(M7.2)は、岩手県一関市・宮城県栗原市を中心に死者・行方不明者23名、建物被害2,000棟以上をもたらしました。花輪東断層帯はこの地震の震源域から北約80kmに位置しており、類似の内陸型直下地震が発生するリスクを地域住民は認識しています。

十和田湖・温泉観光地への影響

鹿角市は十和田湖・奥入瀬渓流への入口にあたり、発荷峠から見る十和田湖の絶景は東北を代表する観光資源のひとつです。また、鹿角市内には玉川温泉・湯瀬温泉などの温泉地が点在しており、地震による温泉源の変動・施設被害は地域観光に打撃を与えます。

山岳地形の土砂崩れリスク

花輪東断層帯の周辺は急峻な奥羽山脈の斜面に囲まれており、地震時の斜面崩壊・土砂崩れリスクが非常に高い地域です。2008年岩手・宮城内陸地震でも山腹崩壊が多発し、道路が長期間閉鎖される事例が多く記録されています。

小坂製錬(古河グループ)・産業への影響

鹿角市に隣接する小坂町には小坂製錬所(非鉄金属精錬)が立地しており、地震による精錬施設の被害は危険物漏洩・環境汚染のリスクを孕んでいます。

影響が想定される主な市町村

  • 秋田県鹿角市(花輪・大湯・八幡平地区)
  • 秋田県鹿角郡小坂町
  • 岩手県八幡平市(西部)

M6.5の直下型地震が発生した場合、断層近傍では震度6弱〜6強に達する可能性があります。鹿角盆地の沖積地盤では揺れが増幅されます。

過去の地震歴

時期 内容
1896年 陸羽地震(M7.2)— 秋田・岩手・宮城で大被害
1914年 仙北地震(M7.1)— 秋田県仙北地方で大被害
1970年 花輪地震(M6.2)— 鹿角市で被害
2011年 東北地方太平洋沖地震(M9.0)— 鹿角市でも震度5弱〜5強

移住・不動産購入時のチェックポイント

鹿角市・八幡平市への移住・田舎暮らしを検討している方向けの確認事項です。

山岳・土砂崩れリスクの確認(最重要)
- 奥羽山脈斜面近傍の住宅は土砂崩れ・地すべりリスクが高い
- 秋田県・岩手県の「土砂災害ハザードマップ」と急傾斜地崩壊危険箇所を必ず確認
- 渓流・沢の上流に住む場合は土石流リスクを重点的に確認

豪雪・冬期防災
- 鹿角市・八幡平市は特別豪雪地帯に指定された超豪雪地域
- 年間積雪3〜4mに対応した建物(雪荷重設計)の確認
- 積雪期の地震は除雪困難・屋根崩落リスクが重なる
- 非常用暖房(薪ストーブ等)と最低2週間分の燃料備蓄

孤立集落リスクへの備え
- 峠越えや橋1本に依存した集落は地震・大雪で孤立しやすい
- 集落の自主防災組織・共助体制の確認
- 衛星電話・防災無線の有無と通信手段の確保

温泉源・地熱エリアの特殊リスク
- 玉川温泉は国内最高の酸性泉(pH約1.05)で知られる
- 地震による温泉源の変動・噴気孔の移動は突発的な危険を生じさせることがある
- 温泉近傍での地盤変形・有毒ガス(硫化水素)のモニタリング情報を確認

防災DBで花輪東断層帯のリスクを確認する →

データ出典

  • 地震調査研究推進本部「花輪東断層帯の長期評価」
  • 地震調査研究推進本部「全国地震動予測地図2020年版」
  • 秋田県「地震被害想定調査」
  • 岩手県「地震被害想定調査」