多可町で大雨の避難先を決めるときは、自宅と経路の浸水深・土砂災害の区域を調べ、避難先が「大雨」に対応しているかまで確認します。町の防災マップには、川沿いの浸水だけでなく、山際の土砂災害、家屋倒壊等氾濫想定区域、浸水が続く時間も載っています。「2階がある」「近所に避難所がある」だけでは、避難方法を決められません。
地区の図を探すなら令和3年3月作成の冊子、洪水・土砂災害の別時点の区域を確認するなら町の公開型地理情報システム「たかみる」が入口です。両者は掲載情報が異なります。まず公式資料の入口から、自宅の地区を選んでください。
多可町の公式ハザードマップと地区別の図
多可町防災マップの公式掲載ページには、洪水・土砂災害の地区別図、地震の震度分布、施設一覧、マイ避難カードがまとまっています。「たかみる」のハザードマップは利用規約を読んで「同意する」から閲覧する入口です。町の利用案内でも、防災情報を閲覧できることが案内されています。
冊子は、まず索引図と全域の浸水継続時間(p5–6)で図番号を探します。以下は町の掲載ページの地区別リンクに対応します。図の境目に家や経路があるときは、隣の図も続けて見ます。
- 加美区北部:図1・p7–8は山寄上・鳥羽・清水・轟、図2・p9–10は山口・西山・市原・丹治・大袋・三谷・箸荷・門村・杉原。
- 加美区中南部:図3・p11–12は奥豊部・観音寺・豊部・岩座神・棚釜・多田、図4・p13–14は豊部・熊野部・多田・奥荒田・的場・寺内・西脇。
- 加美区南部と周辺:図5・p15–16は山野部・大屋・八千代区坂本、図6・p17–18は門前・安楽田・東山・田野口・牧野。
- 中区:図7・p19–20は鍛冶屋・間子・岸上・天田・高岸・奥中・徳畑・中村町、図8・p21–22は森本・西安田・中安田・東安田、図9・p23–24は茂利・安坂・糀屋・坂本・曽我井。
- 八千代区:図10・p25–26は中村・横屋・下村・門田・上三原・中三原、図11・p27–28は中三原・柳山寺・下三原、図12・p29–30は中野間・仕出原・赤坂・俵田、図13・p31–32は下野間。
例えば、清水は図1の右側「1-2」(p8)、岸上は図7(p19–20)、横屋は図10(p25–26)を開きます。地区全体が同じ危険度という意味ではありません。家の位置と避難経路を、それぞれの図でたどってください。
旧防災マップ・令和3年冊子・たかみるは想定条件が違う
紙の地図とWebの色が違う場合、まず雨量条件と区域データの時点を揃えます。町の公式掲載ページは旧防災マップも残していますが、令和3年版とは降雨条件が異なります。
| 資料 | 雨量条件・区域データの記載 | 避難計画での使い方 |
|---|---|---|
| 旧防災マップ | 杉原川は72mm/1時間・概ね80年に1回、野間川は56mm/1時間・概ね30年に1回、その他支川は66.4mm/1時間・概ね30年に1回 | 旧版との違いを知る資料。旧図に色がないことだけで判断しない |
| 令和3年3月の防災マップ | p5に杉原川・野間川とも750mm/48時間と記載。想定最大規模降雨を扱う | 地区別図、家屋倒壊等氾濫想定区域、継続時間、施設の災害別条件を一緒に読む |
| たかみる | 利用規約に想定最大規模750mm/2日、計画規模288mm/2日。洪水は令和4年4月1日、土砂災害は令和6年4月1日時点と記載 | 表示する災害・想定規模を区別し、冊子との時点差を確認する |
出典:町の掲載ページ「旧防災マップはこちら」、冊子p5、たかみる利用規約。
「1時間雨量」と「48時間雨量」は、そのまま倍率を計算して比較できません。また、想定最大規模は「あと1000年は起きない」という予報でも、発生頻度を保証する数値でもありません。たかみるにも、令和3年発行の防災マップと内容が異なること、提供地図が最新とは限らないことが明記されています。区域指定や境界について判断が必要なときは、町の生活安全課に確認します。
災害リスクの数値詳細:多可町で確認したい危険
洪水:川沿いの浸水と山際の危険を同時に見る
加美区の図1(p7–8)は、谷を通る川沿いの浸水と、その周囲の山際にある土砂災害の区域を一緒に示しています。図4(p13–14)でも、豊部・熊野部・的場などの川沿いと谷の出口を続けて確認できます。八千代区の図10(p25–26)では、横屋・上三原・中三原などの谷沿いに、浸水の色と土砂災害の区域が示されています。
この配置から、家の浸水深だけでなく、逃げる道が川沿い・橋・山際を通るかも確認する必要があります。町の避難のポイント(p3)は、川べりや地下道などを避け、できるだけ安全な広い道を選ぶよう説明しています。地図で候補を決めたら、平常時に道を歩いて、低い部分や側溝、夜に見えにくい箇所も確かめておきましょう。
浸水深の色と、家を壊す流れの表示は別
冊子の浸水深の区分は、0.5m未満、0.5m以上3.0m未満、3.0m以上5.0m未満、5.0m以上です。これは予想される水の深さの区分で、町内全域の最大値が「5mちょうど」という意味ではありません。
p5の「家屋倒壊等氾濫想定区域」には、激しい流れで家屋が倒壊するおそれのある氾濫流と、地面が削られて家屋が倒壊するおそれのある河岸侵食があります。中区の図7では、川の周囲にこれらの表示があり、浸水深の色とは別の模様・枠で描かれています。川沿いの家は、深さだけでなく、この表示に入っていないかを確認してください。出典:索引図・凡例p5、図7。
土砂災害:山際は雨だけでなく揺れた後も注意する
冊子の土砂災害の凡例は、急傾斜地の崩壊と土石流を分け、警戒区域と特別警戒区域を別の斜線で示しています。地図ごとに凡例を読み、浸水の塗り色と混同しないでください。土砂災害の危険がある区域は、早めに区域外へ立ち退くことが原則です。
p4には、崖の割れ目、川の水が異常に濁る、雨が続くのに水位が下がる、地鳴りなどの前兆例があります。ただし、前兆を見つけるまで避難を待つ計画にはしません。雨量・危険度や町の避難情報も確認します。地震後も、まず揺れから身を守り、揺れが収まってから崖・斜面の二次災害に注意して安全な場所へ移動してください。出典:町冊子p3–4、地震時の行動p33、内閣府・消防庁「避難指示までに必ず避難」裏面。
地震の地図は発生確率ではなく、想定地震の揺れを示す
多可町震度分布(p36)には「山崎断層帯地震」と「どこでもおこりうる直下型地震」の2図があります。震度予測は250m×250mの格子ごとに行われ、後者は町の直下でM7程度の地震が起きた場合を仮定しています。2図の色が違うのは想定が違うためで、発生確率の比較ではありません。実際の揺れは想定より強くも弱くもなり得ます。
揺れた直後は頭を守り、大きな家具から離れ、慌てて外へ飛び出さないことが先です。平常時には家具を固定し、寝る場所や出口を家具が塞がない配置に変えておきます。出典:町冊子p33–34。
津波:浸水図が対象とする災害を確かめる
ここで案内している冊子の浸水深の図は、杉原川・野間川などの河川洪水を想定した資料です。津波の浸水を示す図としては使えません。地図の色を読むときは、対象の災害と雨量条件も確認してください。出典:索引図・凡例p5。
洪水のとき、自宅の2階に留まってよいか
2階があるだけでは判断できません。 内閣府・消防庁の資料は、屋内安全確保を検討する条件として、①家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていない、②浸水深より居室が高い、③水が引くまで生活でき、水・食料などの備えが十分、の3点を示しています。土砂災害の危険がある区域では立退き避難が原則です。出典:避難指示までに必ず避難・裏面。
多可町では、地区別図で①家屋倒壊等氾濫想定区域と②浸水深を調べ、p6の全域図で③浸水継続時間を照合できます。p6の時間は「浸水深0.5m以上が続く時間」です。「12時間未満」「12時間以上1日未満」「1日以上3日未満」の3区分があります。雨が降り続く時間や、電気・水道が復旧する時間を表したものではありません。出典:町冊子p5–6。
居室の高さだけでなく、水・食料・薬、トイレが使えない場合、家族の介助を含めて、水が引くまで留まれるかを考えます。条件を満たせない場合は、道が危険になる前に安全な避難先へ移る計画を立てます。
すでに道が浸水し、外へ出る方が危険な場合は、無理に避難場所へ向かわず、近くや建物内のより安全な場所で命を守る行動が必要です。町のp3は、高い場所や山と反対側への移動も説明しています。これは切迫した場面の対応で、事前に「浸水してから2階へ」と決める根拠にはなりません。出典:町冊子p3、町の避難情報案内。
指定避難所:施設一覧の災害別の列で選ぶ
施設一覧(p39–40)では、避難生活を送る「指定避難所」の列と、命を守る「指定緊急避難場所」の地震・大雨の列が分かれています。指定避難所の○が、そのまま全災害で使える意味ではありません。
以下は令和3年版の読み方の例です。現在の指定・施設名・利用できる階・開設状況を示す一覧ではありません。
| p39の施設番号・名称 | 指定避難所 | 地震の避難場所 | 大雨の避難場所 |
|---|---|---|---|
| No.4 子育てふれあいセンター | ○ | ○ | × |
| No.5 中央公園北アリーナ | ○ | ○ | × |
| No.6 健康福祉センター「アスパル」 | ○ | ○ | ○ |
| No.7 隣保館「ふれあいセンター」 | ○ | × | ○ |
この4施設は中区の図7にも同じ番号で載っています。岸上などで避難先を考える場合は、図で施設の位置を見つけ、p39で対象災害を照合する順番にすると、近さだけで選ぶことを防げます。大雨×の施設を、地震○だからという理由で大雨時の避難先にしないでください。出典:施設一覧p39、図7。
p40では、大雨時の利用条件として、浸水深3m未満の地域にある施設、2階以上の建物である場合の扱い、土砂災害警戒区域外であることを説明しています。つまり、大雨○も「敷地から全ての部屋まで浸水しない」という保証ではありません。町の生活安全課 0795-32-4777へ、「この施設は現在も大雨時に使えるか」「どの階へ避難するか」「予定経路が危険な場合の代替先はどこか」を、平常時に確認しておきましょう。出典:施設一覧p40、町の問い合わせ先。
福祉避難所は、一般の避難所での生活が難しい要配慮者のために必要に応じて開設する二次的避難所として説明され、冊子は直接避難を想定していないとしています。名簿にあるだけで直接向かうと決めず、介助や移送を含む避難方法を町に相談してください。災害時は地図の○ではなく、町から出る実際の開設案内を確認します。
住所から確認して、昼と夜の逃げ方を決める
冊子表紙のマイ避難カードには、災害の種類、判断材料、逃げ時、避難先と経路、同行する人・移動方法を書く欄があります。避難先と移動方法は昼と夜に分けて書けます。地区図と施設の災害別条件を調べた結果を、ここに移して家族と共有しましょう。
- 自宅と経路の洪水・土砂災害の区域を調べる。洪水は家屋倒壊等氾濫想定区域と継続時間も見る。
- 対象災害に対応した避難先を選び、現在の指定と開設情報の受け取り方を町に確認する。安全が確認できる親戚・知人宅も候補にできる。
- 夜や雨の中の移動が難しい人は、支援する人と早く出る判断を決める。避難に時間がかかる人は警戒レベル3「高齢者等避難」で危険な場所から避難し、それ以外の人も必要に応じ準備・自主避難を行う。
- 警戒レベル4「避難指示」までに危険な場所から避難する。レベル5「緊急安全確保」の発令を待たない。避難情報より前でも危険を感じたら行動する。
避難情報の意味は、多可町の避難情報案内と内閣府・消防庁の資料で確認できます。気象情報や避難情報の入口は町の防災情報一覧です。川の様子を現地へ見に行く計画にはせず、公式に案内された情報を利用してください。
関連ページ:防災情報の地図と公式資料を使うときの注意
多可町の防災情報・住所検索から地点を調べる場合も、結果だけで家の安全を保証できるものではありません。公式資料で想定条件、区域、経路、避難先を確認する補助として使ってください。
図の色がない場所でも、想定した条件を超える雨や、図に示されていない浸水・土砂災害が起きる場合があります。町全体の集計値、代表地点の値、特定の想定地震の色を、個々の家の安全判断に置き換えないでください。住所境界や指定の扱いが不明なら、資料名・地区・該当ページを添えて生活安全課へ確認することで、質問を具体的にできます。