嬬恋村で自宅周辺の災害リスクを調べるときは、まず地区別の洪水・土砂災害マップを開き、火山については対象の山や噴火規模に合った資料を別に確認します。村の共通啓発面は洪水・土砂災害・火山を扱っていますが、地区別の地図だけで火山の影響範囲まで分かるわけではありません。嬬恋村の公式ハザードマップと共通啓発面を起点に、必要な図を選びましょう。

自宅の地区名から公式PDFを選ぶ

村の公式ページでは、地図が次の4区分に分かれています。住所の地区名を確かめてから開くと、自宅を探しやすくなります。

自宅・確認したい場所の地区 公式ページで選ぶ地図
万座 万座地区
田代、大笹 田代・大笹地区
大前、鎌原 大前・鎌原地区
干俣、西窪、門貝、三原、芦生田、袋倉、今井 干俣・西窪・門貝・三原・芦生田・袋倉・今井地区

PDFは村のハザードマップ案内ページに並んでいます。たとえば鎌原の住所なら「大前・鎌原地区」、三原なら最後の7地区をまとめた地図です。避難先や通勤先が別の地区にある場合は、その場所を載せた図も開いてください。

あわせて使うのが、令和6年(2024年)3月発行の共通啓発面です。地区別地図で場所と区域を読み、啓発面で避難行動や家族の連絡方法を整理する、という使い分けができます。村全体の概要や住所検索は嬬恋村の防災情報から確認できます。

洪水の色は「深さ」と「計算の前提」を分けて読む

具体例として、大前・鎌原地区のPDFを見てみます。この図の浸水深は、0.5m未満、0.5m以上3m未満、3m以上5m未満、5m以上の4区分です。3m以上の区分には2階でも浸水するおそれがあることが示されています。「色が薄いから大丈夫」と決めず、自宅の地点の色を、その図の凡例の数値に戻して読んでください。

同じPDFには、基にした資料として「群馬県 利根川水系 洪水浸水想定区域図(想定最大規模)吾妻川圏域」が記されています。指定日は令和4年(2022年)3月29日で、降雨の前提は山地の24時間総雨量442mmです。442mmは1時間の雨量でも、そこまで降るのを待って避難する基準でもありません。想定区域を計算するときの条件です。

また、「吾妻川圏域」は吾妻川だけを指す表示ではありません。この図の対象河川には、片蓋川、万座川、干俣川、湯尻川なども挙げられています。自宅から吾妻川が遠いという理由だけで確認を終えず、近くの川や沢と自宅・経路の位置関係を見ましょう。いずれも、地区全域が同じ深さになるという意味ではありません。

土砂災害の表示も別に確認します。大前・鎌原図には、がけ崩れ・土石流・地すべりの区域が示されています。洪水の色がない地点でも、斜面側の土砂災害の区域に入っていないかを確かめてください。図の白い場所についても、資料は想定外の災害を考えて避難先を検討するよう求めています。無着色の読み方はハザードマップで色がない場所を確認するときの注意点でも解説しています。

浅間山は「無雪期・積雪期」と噴火規模を選び直す

村の浅間山ハザードマップ案内には、平成30年(2018年)3月に作成・改訂された図が掲載されています。洪水・土砂災害の地区別PDFとは別の資料です。

特に見落としたくないのが、小~中規模噴火の図の無雪期と積雪期の違いです。火山防災協議会の解説17ページでは、以前まとめていた降雨時の土石流と融雪型火山泥流を、季節の条件で分けて表示したことが説明されています。

確認する資料・条件 読み分ける点
小~中規模噴火・無雪期 土石流と火山泥流の表示を比べる際は、降雨時の土石流が載っていることを確認する
小~中規模噴火・積雪期 融雪型火山泥流の表示を確認する。無雪期の図で見た範囲をそのまま使わない
大規模噴火 小~中規模とは噴火の想定が異なる。溶岩流や火砕流など、現象ごとの範囲と凡例を読む
大規模噴火・降灰 降灰を扱う別図を開く。小~中規模の図と混ぜて同じ想定と受け取らない

この表の季節差は、土石流・火山泥流の表示の違いを整理したものです。無雪期の図が土石流だけ、積雪期の図が火山泥流だけを扱う、という意味ではありません。

たとえば夏に自宅からの経路を確認した場合でも、雪のある時期には積雪期の図を開き直します。自宅だけでなく、途中の川沿いや候補の避難先も一緒に確認してください。図には予想範囲が絶対ではないという注意もあり、着色の境界のすぐ外を安全な経路と断定することはできません。

また、火山ハザードマップと、避難先・経路などを加えた火山防災マップは役割が異なります。協議会の解説2ページもこの違いを示しています。影響範囲の図だけで当日の避難経路や通行可否を決めないでください。

嬬恋村の共通啓発面には、浅間山のほか、草津白根山の白根山(湯釜付近)・本白根山も掲載されています。浅間山の図から草津白根山の危険範囲を判断することはできません。噴火警報などは、啓発面が案内する気象庁「火山活動の状況」で対象の火山名を選び、発表時刻と内容を確認してください。2018年の地図は、現在の噴火状況を示す速報ではありません。

避難場所は、施設名の横の「備考」まで見る

地図上に避難施設の印があっても、その施設がすべての災害で使えるとは限りません。大前・鎌原地区のPDFの「指定緊急避難場所一覧」には、土砂災害時に使えない、災害によって2階以上なら使える、といった備考が付いています。施設名・所在地・備考を同じ行で照合してください。印だけを見て最寄りの施設へ決めると、利用条件を見落とします。

同じPDFでは、指定緊急避難場所は災害の危険から緊急的に逃れる場所、指定避難所は被災後に一定期間生活する施設と説明されています。両方を兼ねる施設でも、確認する目的は分けて考えましょう。地図に掲載されていることと、今開設されていることも別です。共通啓発面には開設状況を確認する手順があり、実際に向かうときは村の最新の発表と照合する必要があります。

家族で地図を見るときは、次の順に決めておくと、資料を読んだ内容を行動につなげられます。

  1. 自宅、候補の避難先、その間の経路を地区別の地図で確認する。洪水の深さと土砂災害の区域を分けて読む。
  2. 必要な火山の資料を開き、浅間山なら噴火規模・積雪条件も確認する。避難先の施設は一覧の備考まで読む。
  3. 共通啓発面の「マイ・タイムライン」と連絡先欄に、避難先・避難を始めるきっかけ・家族への連絡方法を書き込む。

地区の選び方や図の条件が分からないときは、村のハザードマップ窓口に記載された総務課(0279-96-0511)へ確認できます。「大前・鎌原の地図の、この地点とこの施設を確認したい」のように、地区名、資料名、場所を伝えると質問を具体的にできます。