いの町のハザードマップは、仁淀川の洪水、宇治川の洪水・土砂、枝川地区の内水、地区別の土砂災害に分かれています。町の防災マップ一覧から目的の図を選び、自宅だけでなく避難先までの経路も確認します。同じ住所に複数の災害の想定が重なることがあるため、1枚だけで判断しないことが大切です。

公式ハザードマップを選ぶときは対象の川と地区を確認する

確認する災害・地区 町の公式資料 最初に読むところ
仁淀川の洪水 仁淀川ハザードマップの表・裏 表の浸水深、裏の早期立ち退き区域と浸水継続時間
宇治川の洪水と土砂 宇治川洪水・土砂図の2面 浸水深、家屋倒壊等の区域、継続時間
枝川地区の内水 枝川地区内水図 表示範囲、10mメッシュ、計算に用いた雨
本川・吾北・伊野の土砂災害 土砂災害の対象地区一覧と24枚の図 一覧で該当する番号を探し、住所と経路が入る図を確認

土砂図の対象地区一覧では、1〜7が本川地区の一部、8〜10が本川・吾北の一部、11〜14と16が吾北の一部、15と17が伊野・吾北の一部、18〜24が伊野の一部です。「吾北ならこの1枚」とは決めず、候補の図で自宅や経路が表示範囲に入るかを確かめます。境目を通る経路は隣の図も確認してください。

細部を拡大したい場合、町は高知県の防災マップと土砂災害警戒区域等マップを案内しています。スマートフォンでは高知県防災アプリから県の防災マップを見る方法もあります。敷地が区域境界に近く判別しにくい場合は、町や区域を公表する行政へ確認します。

3つの浸水図は計算に使う雨が違う

洪水図と内水図は、想定する雨、川や施設の条件、作成時点が異なります。町が説明する主な条件を並べると次の違いがあります。

資料 雨量条件と想定の時点 読み方の注意
仁淀川・想定最大規模 48時間総雨量904mm、2016年5月の指定 仁淀川の河道整備と大渡ダムの洪水調節機能などを考慮した洪水想定
宇治川・想定最大規模 1時間163mm・24時間1,176mm、2017年10月の指定 2017年10月時点の河道の整備状況を用いた洪水想定
枝川地区・内水 1時間88mm・2日間751mm、2021年3月作成 2014年8月の台風12号の雨を用いた、浸水対策事業完了後の想定

904mmと1,176mmは集計する時間が違います。また、枝川の88mmは、洪水2図の最大規模条件とは別です。数値の大小から地域の安全を順位づけたり、掲載した雨量に達するまで避難を待ったりする使い方はできません。自宅に関係する川・排水の想定を、それぞれの条件のまま読みます。

仁淀川の地図は表と裏で扱う情報にも注意が必要です。表の説明には確率規模の異なる雨の条件が記されており、裏は48時間904mmの最大規模に基づく浸水域、家屋倒壊等の区域、浸水継続時間を示しています。表で見た水深の色を、そのまま裏の継続時間の色へ読み替えないでください。

洪水は水深・家屋倒壊等の区域・継続時間を分ける

最初に自宅と経路の想定水深を見て、次に早期の立ち退きが必要な区域かを確認します。仁淀川の案内では家屋倒壊等氾濫想定区域と浸水深5m以上の区域、宇治川の案内では家屋倒壊等氾濫想定区域を示しています。宇治川について町は「浸水深が5m以上の区域はない」と説明していますが、河岸侵食や氾濫流の区域がない、住宅内で待機すれば安全、という意味ではありません。

氾濫流は水の流れによる家屋倒壊など、河岸侵食は家屋の基礎を支える地盤の流出に関する想定です。河岸侵食については家屋の構造だけで安全と決められません。平時に立ち退き先と経路を検討し、危険が迫る前に行動できるようにします。

裏面の「洪水浸水継続時間」は、浸水深50cmを上回る時間の目安です。水深の最大値でも、雨の降り続く時間でもありません。屋内で一時的に身を守れたとしても、浸水が長引けば外へ出られなくなる場合があります。継続時間も見て、早期の立ち退きや水・食料などの備えを考えます。

継続時間図には、堤防が維持される条件や、町内の排水施設が浸水して機能停止する条件が記されています。図の時間が、今の降雨で家の前の水が引くまでの予測を示すわけではありません。現在の水位や避難情報は、その時点の町・気象・河川情報で確認してください。

枝川の10mメッシュを住宅の浸水深と決めつけない

枝川地区の内水図は10m×10mのメッシュです。町によると、地表面の高さをレーザーで計測し、想定水位との差を浸水深として表示しています。メッシュ内に河川や水路などの低い場所があると、水路の底を地表面として扱い、浸水深が大きく表示される場合があります。

そのため、住宅付近の1つの色を見ただけで、家の床や室内が同じ深さまで浸水すると断定できません。図の凡例は0.2〜0.5m、0.5〜1.0mなどです。色のない場所も含め、土地の高低差、周囲の水路、移動経路を確認し、判断できない地点は町の上下水道課へ相談します。

町は、対策事業の効果で2014年8月と同様の雨に対する床上浸水は解消する一方、床下浸水や道路冠水などは完全には解消しないと説明しています。これは特定の条件のシミュレーションの説明です。事業が終わったからあらゆる雨で被害がなくなる、とは読めません。想定を超える雨では、図の浸水域の外でも浸水するおそれがあります。

避難施設と災害時の情報を確認する

地図上の避難施設を候補にしたら、町の指定避難所・指定緊急避難場所で区分と災害別の適否を確認します。指定避難所は一定期間滞在するための施設、指定緊急避難場所は洪水・地震など災害種別ごとの避難先です。図に記号があることだけで、現在開設されているとは判断しません。

古い洪水PDFには「避難勧告」などの表記が残っています。過去の制度名や図の水位の数字だけを現在の避難判断に使わず、その時点の町の避難情報、周囲の状況、気象・河川情報を確認してください。すでに経路が冠水するなど外へ出る方が危険な場合は、無理な移動を避けて身を守る必要があります。個別住宅でどの階なら安全かは、この図だけでは決められません。

土砂の区域外でも災害が起こるおそれがあると町は注意しています。色がついていない場所の読み方も参考に、家族と避難先・経路・連絡手段を確認しておきましょう。いの町の防災情報から地域全体の情報も確認できます。