尾鷲市の津波ハザードマップは、浸水する範囲、浸水の深さ、地区ごとの到達時間を別の図で確認する構成です。避難先の星表示にも、2つの津波想定で利用できる場所や階が異なる条件があります。自宅の色だけで判断せず、移動する道と避難先まで同じ想定で読み合わせましょう。
まず尾鷲市の津波ハザードマップを開きます。案内ページの更新日は2025年12月17日ですが、市が説明する地図の作成年は2015年4月です。ページが更新されたことと、地図の計算条件が新しくなったことを混同しないようにします。
津波の図は「範囲・深さ・時間」の順に選ぶ
公式ページには、全体を比較する図と、5つの地区別の図があります。最初に全体図で想定の違いを把握し、次に自宅や勤務先が載る地区図へ進むと、色の意味を取り違えにくくなります。
| 公式PDF | 表していること | 確認する場所と注意点 |
|---|---|---|
| p.1–2 浸水域 | 過去最大クラスと理論上最大クラスの2つの浸水範囲 | 自宅だけでなく、避難経路と候補地がどちらの範囲に入るか |
| p.3–4 浸水深 | 理論上最大クラスの津波による浸水の深さ | 建物周辺の深さを凡例で読む。浸水域図の色と意味が違う |
| p.5–14 地区別の到達時間図 | 理論上最大クラスで地震後に津波による浸水が始まる時間の目安 | 出発点、道中、避難先近くの浸水箇所を読む。行動開始まで待てる時間ではない |
地区別のPDFは、p.5–6が尾鷲、p.7–8が須賀利・行野浦、p.9–10が九鬼・早田、p.11–12が三木浦・小脇・名柄・三木里、p.13–14が古江・賀田・曽根・梶賀です。地区名を選んだ後、出発点から候補地までの道が図の端で途切れないかを確かめ、必要なら隣接する図も開きます。
例えば、尾鷲地区の図を開いたら、目的地の記号だけを探すのではなく、海沿いや川沿いの道を通る部分も見ます。同じ地区でも一色で塗られているわけではありません。地図上の最短経路と、災害時に通れる経路を同じものと考えないことが大切です。
同じ「4分」でも到達の条件は違う
浸水域図p.1–2は、三重県が2014年3月に公表した想定に基づき、過去最大クラスと理論上最大クラスを区別しています。過去最大クラスの表示だけで、もう一方の範囲も確認済みとは扱えません。
この図の説明では、過去最大クラスの津波到達時間4分は20cmの津波、理論上最大クラスの4分は1mの津波を基準にしています。数値が同じでも、到達を数える条件は同じではありません。 どちらも「地震後4分まではその場にいてよい」という意味ではなく、個々の住所までの避難猶予を保証する数字でもありません。
また、浸水域図の2つの色は想定の違いを示します。一方、浸水深図p.3–4の色は深さの区分です。別の図の色をそのまま置き換えず、それぞれの凡例を読み直します。
両方の想定で色が付かない場所も、津波や他の災害からの安全が保証された場所ではありません。ハザードマップで色がない場所の読み方では、対象とする災害や想定の範囲を分けて確認する考え方を説明しています。
到達時間図で避難経路の途中も確認する
尾鷲地区の到達時間図p.5–6では、浸水し始める時間を5分以内、5~10分、10~15分などの区分で示しています。出発点がある区分だけを見ると、先に浸水し始める場所を道中で通る可能性を見落とします。
図の右側には「逃げどき」を考える記入欄があります。平時に経路を確かめるときは、次の順に読み合わせます。
- 出発点の浸水開始時間を地図で調べる。
- 避難先が浸水しない場合も、経路上で避難先に最も近い浸水箇所の時間を調べる。
- 候補地まで実際に移動する時間を確かめ、地図の時間と比べる。
これは準備のための目安です。差し引いた時間まで避難開始を遅らせるための計算ではありません。図も可能な限り迅速に避難することを求めています。避難先や経路の選択に無理があると分かったら、より早くたどり着ける高い場所など、別の候補を事前に考えます。家族の移動条件が違う場合は、それも含めて確かめておきましょう。
市の緊急避難場所・収容避難所の案内は、津波ではより早く、より高い場所へ逃げることを大原則としています。災害時に地図を調べ直すために立ち止まるのではなく、平時の確認に使ってください。
避難先の星は2つの想定での利用条件を表す
尾鷲市では、危険から命を守るための「緊急避難場所」と、被災者などが一定期間滞在する「収容避難所」を分けています。地図の記号や施設名だけで、どちらの用途にも使えると判断しないようにします。
現行案内から開ける指定避難場所・避難所一覧の末尾には、星の数と2つの浸水想定での利用可否が示されています。
| 安全レベル | 過去最大クラスの想定 | 理論上最大クラスの想定 |
|---|---|---|
| 3・星3つ | 浸水域外で利用可能 | 浸水域外で利用可能 |
| 2・星2つ | 浸水域外の避難先は敷地が利用可能、浸水域内なら建物上階のみ | 建物上階のみ利用可能 |
| 1・星1つ | 浸水域外の避難先は敷地が利用可能、浸水域内なら建物上階のみ | 利用不可能 |
星2つ・1つでは、過去最大クラスの条件も浸水域内か外かで異なります。「星があればどの想定でも敷地に避難できる」「どの施設でも2階へ行けばよい」と読み替えないことが必要です。一覧の施設ごとに、対象災害、緊急避難場所・収容避難所の別、利用できる階と標高の欄を確認します。
レベル2はレベル3へ避難する余裕がないとき、レベル1はレベル3・2へ避難する余裕がないときの緊急避難先として説明されています。星は想定に基づく利用条件で、実際の津波に対する絶対的な安全保証ではありません。
古い地図には「整備予定」「指定予定」の施設注記もあります。地図上にある名前だけで現在の指定や開設を判断せず、上記の市の案内と一覧を確認します。一覧に載っていることと、今その施設が開設されていることも別です。利用できる入口・階・災害の種別が分からなければ、市の防災危機管理課へ施設名を伝え、どこを利用する指定なのかを確認してください。
土砂災害と河川洪水は別の資料を開く
津波図だけでは、大雨時の土砂災害や河川洪水を確認したことにはなりません。土砂災害ハザードマップは尾鷲北・尾鷲南などの地区別PDFと山間部の図に分かれています。
尾鷲北の図では、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域、土砂災害危険箇所、山地災害危険地区が別の凡例で示されています。色が同じように見えても区分を混同せず、住所の周辺だけでなく候補地までの道沿いも確認します。作成年は2015年4月なので、区域の現在の指定について不明な点は市の担当課に確認しましょう。
河川の洪水は、市の洪水ハザードマップの案内から三重県の川の防災情報へ進み、関係する河川の図を探します。津波の深さや時間を洪水の条件として使わないことが必要です。
尾鷲市の災害リスク情報も資料を探す入口として使えます。津波・土砂災害・洪水で開く資料を分け、出発点、道中、避難先の条件をつなげて確認しておきましょう。