別府市の活断層の位置を調べる入口は、国土地理院の活断層図「別府」です。一方、住所周辺の津波・洪水・土砂災害や避難先を確認するには、市の防災マップを使います。活断層の位置図と、災害別の浸水予測図は用途が異なります。 断層線から離れていることだけで、建物や避難経路の安全は判断できません。
市が公開する防災冊子は2023年1月改訂ですが、津波の数値は2013年の調査、冊子内の避難所一覧は2022年時点の記載です。表紙の改訂年をすべての情報の時点と考えず、資料ごとの条件を読み分けましょう。
活断層マップは国土地理院の「別府」から開く
国土地理院の活断層図の整備一覧で図名「別府」を探し、地理院地図へのリンクを開きます。整備一覧では、別府は1999年調査、2000年9月公開です。ウェブページの更新年と、活断層図自体の調査・公開年を分けて読みます。
位置を見るときは、表示された図の中心だけで済ませず、自宅や職場がある地区と周辺を探します。活断層図の記号では、赤い実線が活断層、赤い破線が位置のやや不明確な活断層、赤い点状の線が伏在部です。黒い線には推定活断層などの区別があり、色や線の途切れ方を凡例と対応させる必要があります。
推定活断層の「推定」は、地形などから断層の存在が推定されるという意味です。「黒い線だから地震の危険は小さい」「破線だから無視できる」という読み方はできません。
国土地理院の説明・FAQによると、活断層図はすべての活断層を表示しているわけではなく、地表に明瞭な地形が現れないものなどは把握できない場合があります。また、断層線の位置は個々の土地での精密な調査結果と同じではありません。土地や建物の具体的な検討では、図の線と敷地との関係だけで結論を出さず、調査時点や位置精度を含めて扱います。
市の防災マップにある紫色の海抜5m・10mの線は、活断層線ではありません。別の地図へ移ったときは、線の色の印象よりも、その図の凡例を読み直してください。
市の公式ハザードマップは「どの災害を調べるか」で選ぶ
別府市の防災マップには、冊子全体と分割PDFがあります。目次では、想定する地震が13ページ、洪水・土砂災害が23~51ページ、津波が52~59ページ、高潮が60~67ページ、避難所等が68~71ページです。まず全市図で地区を把握し、地区別の詳しい図へ進むと、自宅だけでなく通学路や避難経路も追いやすくなります。
| 調べたいこと | 選ぶ資料 | 時点・読み分ける条件 |
|---|---|---|
| 活断層の位置と線の意味 | 国土地理院の活断層図「別府」・記号一覧 | 1999年調査・2000年9月公開。線の有無だけで個別安全を判定しない |
| 河川の洪水・土砂災害 | 市の洪水・土砂災害予測図 | 冊子の土砂災害区域は2022年6月30日時点。過去の浸水表示と予測区域を分ける |
| 津波の浸水範囲・深さ | 市の津波浸水予測図 | 2013年1月の県調査に基づく別府湾の地震の想定 |
| 津波の警戒区域・基準水位 | 市の津波災害警戒区域の案内と区域図 | 2023年11月28日指定。浸水深と基準水位は同じ数値ではない |
| 台風による高潮 | 市の高潮浸水予測図 | 2021年6月の豊前豊後沿岸の想定。津波とは発生条件が異なる |
| 施設の災害別の対応 | 市の現行避難所一覧 | 2026年3月6日現在の一覧。開設状況は別に確認する |
洪水図では、色の深さだけでなく斜線の種類も見ます。南部の図では、青い斜線は「過去に浸水した区域」、赤い斜線は家屋倒壊等氾濫想定区域の氾濫流を示しています。過去の浸水範囲と、想定する洪水の危険区域は別の情報です。 川沿いでは、自宅から避難先までの道路がどちらの表示にかかるかも確認します。
冊子は、土砂災害区域についてその後の指定があり得ることも記しています。冊子の色がない場所で区域指定の有無を詳しく確認したい場合は、地名・住所と見ている図のページを用意し、市の防災危機管理課に最新の区域情報の確認先を尋ねます。地図で着色されていない場所の読み方は、色のない場所を安全と断定できない理由も参考になります。
津波の「85分」を別府湾の地震にも当てはめない
市の冊子は、南海トラフの巨大地震、別府湾の活断層型地震、周防灘の活断層型地震を分けています。南海トラフと別府湾では、同じ地点でも津波の到達時間が大きく違います。
以下は冊子13ページの2013年1月の県調査に基づく数値です。潮位は平均の満潮位、堤防は機能しない、地盤沈下を考慮する条件です。将来のすべての地震の到達時間や、最新の地震想定全体を表す値ではありません。
| 想定地震・地点 | 最大津波高 | 1m波高到達時間 | 最大津波高到達時間 |
|---|---|---|---|
| 南海トラフ・亀川東町 | 4.78m | 85分 | 104分 |
| 南海トラフ・北的ヶ浜町 | 4.61m | 85分 | 108分 |
| 別府湾・亀川東町 | 5.13m | 30分 | 45分 |
| 別府湾・北的ヶ浜町 | 5.42m | 24分 | 40分 |
1m波高到達時間と、最大津波高到達時間は別です。 北的ヶ浜町の別府湾の想定なら、24分と40分を取り違えないことが大切です。また、表の最大津波高を、そのまま自宅の地盤からの浸水深に置き換えることもできません。住所周辺の深さは津波浸水予測図の色と凡例で読みます。
冊子が52~59ページに載せる津波図は、冊子の説明では浸水域と浸水深が最も大きくなる別府湾の想定を採っています。南海トラフの85分を、この図に一律に当てはめることはできません。表の時間まで待てるという保証でもありません。市の津波浸水予測図の案内は、揺れを感じた際には速やかに高い場所へ避難すること、予測範囲外でも浸水があり得ることを伝えています。
津波の基準水位と、高潮の図も分けて読む
津波災害警戒区域の案内から位置図と区域図を開くと、全市の位置図の番号に対応する詳しい図を探せます。区域図の「基準水位」は地盤面からの高さで、津波が建物などに衝突した際のせり上がりも加味しています。浸水深の色や海抜の数字と同じものとして比較しません。避難施設の有効な高さ等の基準に使う数値です。
区域図の注記には、地形の変化や道路・建物などが現況と異なる場合があることも書かれています。図上の経路が現在通れるか、現地の入口や階段へ到達できるかは、平時に別途確認します。
高潮は台風の風や気圧に伴う海面の上昇による災害です。市の高潮図は、複数の台風経路等を考慮した想定であり、津波図と同じ場所を見ていても、その色の発生条件は異なります。津波の図で経路を決めたから高潮も同じでよいとはせず、高潮の全市図・地区別図でも自宅、道路、避難先を読み合わせます。
避難所名より、災害の欄と使える階を見る
市の避難所案内から、現行の一覧表を開きます。2026年3月6日現在の表では、指定避難所と指定緊急避難場所の区別に加え、洪水・土砂・高潮・地震・津波・噴火の欄と備考があります。
例えば南部地区公民館は、洪水が○でも、備考は「洪水時は2,3階のみ」です。一方、高潮と津波は×です。ふれあい広場サザンクロスも洪水時は3,4階のみで、高潮と津波は×です。高い階があることと、その災害の避難先として使えることは別です。 洪水の備考を津波避難の条件へ読み替えないでください。
指定緊急避難場所は危険が迫ったときに緊急に避難する施設・場所、指定避難所は必要な期間の滞在などを目的とする施設です。地図の施設名だけで、宿泊できる場所か、どの災害に対応するかを決めません。
市は災害の規模などに応じて指定避難所等を開設し、ホームページなどで知らせるとしています。一覧の○は今開いているという意味ではありません。避難先候補の災害別欄、使う階、経路を平時に整理し、発災時は市の開設情報と避難情報を確認します。資料間の名称や条件が一致しない場合は、施設名と災害名、利用したい階を添え、防災危機管理課(0977-21-2255)へ確認してください。
別府市の災害リスク概要で地域の情報も整理できます。このページの数値や地図は個別建物の安全を保証するものではなく、活断層の位置、災害別の予測、避難先の条件を読み合わせるための入口です。