伊豆の国市で大雨への備えを調べるなら、洪水・土砂災害の想定図、過去の冠水被害図、現在の避難施設一覧を分けて確認します。2021年版の防災マップだけで終えず、その後に公表された河川の図と施設の修正も合わせて見ることが大切です。
「以前この道が冠水したか」と「大きな洪水で自宅がどこまで浸水し得るか」は、同じ地図では答えられません。町屋・北江間周辺の地図を例に、色と模様の違い、施設一覧の○・△・×の意味を説明します。個別の住宅の安全や、今開いている避難所を判定する記事ではありません。
公式資料は、調べたいことに合わせて選ぶ
伊豆の国市防災マップの公式ページでは、2021年2月更新の冊子を見開きごとにダウンロードできます。11~12ページに地区別地図の索引があり、13~42ページから地区名で選びます。
町屋・鳥打・大北・千代田・長塚などは13~14ページ、古奈・天野・長岡などは15~16ページ、大仁・三福・田京などは19~20ページです。地区の境界付近や移動経路を調べるときは、隣接する図も開きます。
| 確認したいこと | 公式資料の入口 | 読むときの区別 |
|---|---|---|
| 河川が氾濫した場合の深さ、家屋倒壊、土砂災害 | 防災マップ11~12ページと該当地区の図 | 深さの塗り分け、家屋倒壊の模様、土砂の線を別々に読む |
| 防災マップ以外の河川の想定 | 市の「その他河川の浸水想定区域図の公表」 | 2025年からの県の公表資料へ進み、河川ごとの図と条件を確認する |
| 実際に起きた冠水 | 市の「過去の冠水被害状況」 | 年度・台風名・地区を選ぶ。将来の最大浸水深の図と混同しない |
| 避難施設の名称・所在地・災害別使用可否 | 市の「避難所と避難場所一覧」のPDF | 古い冊子の45~46ページと名称・住所・注記の更新差を照合する |
河川・地震などの地域情報をまとめて見たい場合は、伊豆の国市の総合ページも利用できます。避難先を選ぶ際の区域や施設の条件は、以下の公式資料で確かめてください。
冠水の実績と、将来の洪水想定は別の情報
2019年台風19号の被害図で確認できること
過去の冠水被害状況には、2002年度から2019年度までの複数の災害の資料があります。年度によって掲載する地区や図の数が異なります。
2019年度の市全域の冠水被害状況調査図は、台風19号が襲来した2019年10月12日の資料です。凡例では黄色が冠水区域、青が床下浸水区域、桃色が床上浸水区域を表します。地区ごとの冠水面積や浸水棟数も掲載されています。
この図は、その災害で調査された被害を知るための資料です。過去の図に色がない場所でも、次の大雨で冠水しないとは限りません。 一方、図の黄色や青から、将来の洪水で何メートル浸水するかを読み取ることもできません。
防災マップでは、想定深さと実績の模様が重なっている
冊子の13~14ページの地区図には、洪水の想定深さと、2019年台風19号の冠水区域が同じ地図に載っています。
想定深さは、0.5m未満、0.5m以上3m未満、3m以上5m未満、5m以上という色の区分です。水色の点模様は2019年台風19号の冠水区域で、洪水想定の深さを表す色ではありません。同じ場所に色と点模様が重なっていても、別の情報として読みます。
さらに赤い点の模様は河岸侵食、紫の網目模様は氾濫流による家屋倒壊等氾濫想定区域です。浸水が浅いかどうかだけで、自宅の上階にとどまれるとは判断できません。冊子はこれらの区域や浸水深3m以上の区域を、早期に立ち退く対象として示しています。
冊子に載る3河川だけで、すべての水害を判断しない
11~12ページの説明では、狩野川・来光川・柿沢川の想定最大規模の雨による氾濫を扱っています。狩野川は地点別に48時間総雨量828mm・746mm・721mm、来光川と柿沢川は蛇ケ橋地点より上流で48時間総雨量847mmという条件です。
これらは図の計算条件です。自宅でその量の雨が降るまで待ってよい、という避難の基準ではありません。また、冊子は示された箇所以外でも洪水や土砂災害が起こり得ると説明しています。
その後、市はその他河川の浸水想定区域図の公表を案内しています。静岡県では2025年3月から、洪水予報河川や水位周知河川以外の河川についても図を作成・公表しています。
江間川・戸沢川・長瀬川など、身近な河川については、この案内から県の伊豆の国市の河川別一覧へ進みます。目的の河川の図を開き、対象区間、想定雨量、浸水深、注意書きを確認してください。古い冊子の白地だけを見て、追加河川の危険まで否定しないようにします。
河川の氾濫想定と、雨水が排水しきれない内水による冠水も区別が必要です。過去の冠水実績図は、将来の内水の想定深さを計算した図の代わりにはなりません。色のない場所の考え方は、ハザードマップの白い場所は安全かでも説明しています。
避難所は、災害別の○・△・×を読む
市の避難所と避難場所一覧から開く避難所等一覧PDFには、地震・洪水・土砂災害の使用可否が別々に載っています。
○は避難可能、×は避難不可能、△は浸水区域内にあるものの最上階への垂直避難は可能、という区分です。△を、浸水しない施設や無条件に安全な避難先と読み替えないでください。 移動経路と開設状況も別に確認します。
| 施設の例 | 地震 | 洪水 | 土砂災害 | 選ぶ際に確認すること |
|---|---|---|---|---|
| 長岡中学校 | ○ | ○ | ○ | 災害別の記号に加え、実際の開設と移動経路を確認する |
| 長岡中央公民館(あやめ会館) | ○ | △ | ○ | 洪水時は最上階への垂直避難という条件がある |
| 富士美幼稚園 | ○ | × | ○ | 地震で利用可能でも洪水の避難先にはできない |
| 韮山生涯学習センター | ○ | ○ | × | 洪水の○から土砂災害にも使えるとは判断しない |
| 町屋公民館 | ○ | × | ○ | 地区内で身近な公民館でも洪水の避難先とは限らない |
表は一覧の一部を比較したものです。すべての施設が同時に開くわけではありません。市は開設状況をホームページ、LINE、メール、同報無線、テレビのデータ放送などで案内しています。
古い冊子と現在の一覧には更新差がある
2021年版の45~46ページと現在の一覧では、施設名や住所が変わっています。たとえば鳥打公民館は、冊子の南江間906-1から、現在の一覧では南江間1081-3へ移っています。避難先のメモには旧住所をそのまま使わないでください。
市民交流センター(旧大仁高校作法室)の使用期限にも注意が必要です。防災マップの案内本文には2026年3月31日まで、現在リンクされている施設一覧PDFには2027年3月31日までと、異なる期限が書かれています。この記事では、どちらかを選んで利用可能・終了済みとは断定しません。同施設を候補にする場合は、市危機管理課へ「市民交流センターの現在の避難所指定と使用期限」を確認し、災害時は開設案内も確認してください。
早めの自主避難と、家族の避難計画
市は風水害が見込まれる場合の自主避難所として、あやめ会館、韮山農村環境改善センター、大仁庁舎の3施設を案内しています。これは常時開放を意味しません。開設案内を確認してから向かいます。自主避難所では食料・飲料水の配給がないため、必要なものを持参します。
家族の準備には、市の「わたしの避難計画」を使えます。地区別の用紙と作成ガイドがあり、たとえば町屋区の用紙には、家屋流出、洪水の浸水深、土砂災害の区域、避難のタイミング、避難先、情報収集手段を記入する欄があります。
まず該当する地図で自宅と経路の区域を確認し、家族で移動に必要な時間を考えます。市の現行案内では、避難に時間のかかる人や支援者は警戒レベル3で危険な場所から避難し、警戒レベル4では危険な場所から全員が避難する扱いです。災害が切迫して移動自体が危険な段階まで、情報を待ち続けないようにします。
長岡・韮山地区では旧防災ラジオだけに頼らない
市の防災ラジオの案内では、対象の防災ラジオ・個別受信機による同報無線放送は、長岡地区で2023年12月28日、韮山地区で2024年6月30日に終了したとされています。AM・FMラジオとして使えることと、同報無線を受信できることは別です。
旧機器を持っているだけで避難情報が届くと思わず、公式LINE、メール、電話応答サービスなど、利用できる別の手段を準備します。対象機器の例や登録へのリンクは上記の公式ページで確認できます。
地図や施設の記載が分からないとき
市危機管理課の窓口は、伊豆長岡庁舎1階、電話055-948-1482です。地区名、開いた資料名・ページ、確認したい施設名、洪水・土砂などの災害種別を伝えると、疑問を具体的に相談できます。追加河川の想定図の内容については、市の案内にある沼津土木事務所への問い合わせ先を確認してください。
相談する際は「安全ですか」だけではなく、「この模様は冠水実績と家屋倒壊のどちらか」「この施設の洪水欄の△にはどんな利用条件があるか」「期限が異なる施設は現在も避難所に指定されているか」のように、資料の記載と知りたい条件を示しましょう。