阿波市で自宅や職場の災害リスクを調べるときは、住んでいる地区の「吉野川浸水想定等」と「中小河川氾濫等」の両方を開きます。吉野川の想定浸水だけでは、過去の中小河川の浸水や土砂災害の確認を終えられません。
避難先も、学校や公民館の名前だけでは決められません。施設一覧には河川の洪水、内水、土砂災害、地震の欄があり、同じ施設でも利用条件が異なります。この記事では、地区別の図の入口と、その条件を読み分ける方法を説明します。
自分の地区の公式ハザードマップを2種類とも開く
阿波市総合ハザードマップの公式ページには、阿波町、市場町、吉野町・土成町の図があります。各地区について、吉野川を扱う図と中小河川を扱う図を組み合わせて確認してください。
| 調べる地区 | 吉野川の想定などを見る図 | 中小河川の浸水などを見る図 | 読み分けるポイント |
|---|---|---|---|
| 阿波町 | 吉野川浸水想定等 | 中小河川氾濫等 | 吉野川の想定と、過去の中小河川の浸水実績を分けて見る |
| 市場町 | 吉野川浸水想定等 | 中小河川氾濫等 | 宮川内谷川の想定も含むため、冒頭の雨の条件を読む |
| 吉野町・土成町 | 吉野川浸水想定等 | 中小河川氾濫等 | 過去の浸水実績と、宮川内谷川の想定最大規模の凡例を区別する |
市の案内ページには2021年の公開日がありますが、掲載図には2023年9月作成と記されています。ページの公開日だけで、図の作成時点やすべての情報の時点を判断しないようにします。避難施設は地図内の古い表だけでなく、後述する市の施設一覧も確認します。
地区の災害情報をまとめて見たい場合は、阿波市の総合ページも利用できます。個別の住所については、公式図で自宅だけでなく、予定する避難先と途中の道まで確認してください。
吉野川の浸水想定は、雨の条件と家屋倒壊の区域を読む
吉野川の図は、想定最大規模の降雨による浸水を示します。図の説明にある条件は、吉野川岩津上流域の2日間総雨量765mmです。これは想定図の計算条件であり、この量になるまで避難しなくてよいという基準ではありません。
図には、0.5m未満、0.5~3m、3~5mなど、浸水した場合に想定される深さの区分があります。色の印象だけで判断せず、その図の凡例で深さを読みます。深さの区分を、どの建物でも何階なら安全かという一律の判定に置き換えないでください。
家屋倒壊等氾濫想定区域にも注目します。水の深さだけでなく、強い流れなどで建物自体に被害が及ぶおそれを考える区域です。自宅の上階にとどまる案を考える前に、この区域に入るか、建物の状況や周囲の道がどうなっているかを確認します。
中小河川の図は、過去の実績と将来の想定を混同しない
中小河川の図には、2004年の台風23号による浸水実績が掲載されています。凡例では浸水区域、床上浸水、床下浸水、浸水深が区別されています。これはその台風で起きた浸水を示す情報であり、将来のすべての洪水の深さを予測する図ではありません。
過去の浸水実績がない場所を、今後も浸水しない場所とは判断しません。吉野川の想定図や、関係する河川の想定図と合わせて確認します。
宮川内谷川は、図によって想定条件の記載が異なる
市場町の「中小河川氾濫等」の説明には、宮川内谷川について「およそ50年に1回程度起こる大雨を想定」とあります。一方、吉野町・土成町の同種の図には、「宮川内谷川浸水想定区域(徳島県想定最大規模)」という凡例があります。
同じ川の名前が出ていても、2つの図を同じ雨の条件で作られたものとして比較しないでください。 市場町の図の色だけを使い、想定最大規模の浸水まで確認できたと考えることも避けます。
市が関連リンクとして示している徳島県の河川の洪水浸水想定区域図には、宮川内谷川の想定最大規模降雨の図への入口があります。宮川内谷川沿いで確認する場合は、この県の図も開き、自宅付近の表示範囲と計算条件を照合してください。
県の案内では、内水、支川の氾濫、高潮、想定を超える降雨による氾濫などを考慮していないとしています。地図に色がないことだけで安全とは言えない理由は、ハザードマップの白い場所は安全かでも説明しています。
避難施設は、河川・内水・土砂・地震の列を分けて選ぶ
市の避難所・救護所一覧の案内から、2026年9月25日版の避難所・救護所一覧を開きます。施設名や番号は、古い地図の表からそのまま写さず、この一覧と照合してください。
一覧の洪水氾濫は「吉野川・宮川内谷川」と「内水」に分かれています。○は利用可能、×は利用不可、△は2階以上利用可能という意味です。下表は、その違いが分かる施設の例です。
| 施設の例 | 吉野川・宮川内谷川 | 内水 | 土砂災害 | 地震(耐震) | 確認する違い |
|---|---|---|---|---|---|
| 林小学校体育館 | × | ○ | ○ | ○ | 内水で○でも、河川の洪水では× |
| 吉野中学校体育館 | △ | ○ | ○ | ○ | 河川の洪水では2階以上という条件がある |
| 阿波高等学校体育館 | ○ | × | ○ | ○ | 河川の洪水で○でも、内水では× |
| 八幡公民館 | △ | × | ○ | ○ | 河川は2階以上の条件付き、内水は利用不可 |
| 阿波伊沢北分館 | ○ | ○ | × | ○ | 洪水で○でも、土砂災害では× |
内水で○の施設を、吉野川の洪水でも使える施設と読み替えないでください。 △も施設全体を無条件に利用できるという意味ではありません。利用できる階の条件を、市の開設案内と合わせて確かめます。
一覧には、災害別の利用条件とは別に「指定緊急避難場所」の列があります。この列の●や-と、洪水の○・×・△は別の項目です。たとえば阿波高等学校体育館は河川の欄が○でも、指定緊急避難場所の列は-です。どの施設でまず危険を避け、どこで避難生活を送るかは、施設の役割も含めて市へ確認します。
現行一覧には「吉野公民館(旧名称:吉野コミュニティセンター)」という名称も載っています。古い名称で探している場合は、所在地と現行名称を突き合わせてください。○の施設も常時開設や、そこまでの経路の安全を保証するものではありません。
福祉避難所・救護所は、一般の避難先と役割が異なる
市の案内では、指定避難所、福祉避難所、救護所を別々に掲載しています。福祉避難所は特別な支援が必要な人のため、救護所はけが人や病人の治療のための施設です。名前だけを見て、すべてを同じ避難先の候補にしないようにします。
福祉避難所の指定状況の案内には、災害直後には開設されず、まず一般避難所で状態を確認し、必要に応じて順次移るという手順が記されています。ただし、このページに添付された施設表は2021年4月時点です。施設名と災害別の利用条件は2026年9月25日版を使い、支援が必要な人の避難方法は事前に社会福祉課(0883-36-6811・6812)へ相談してください。
土砂災害と地震は、情報の時点と想定を確かめる
地図にある土砂災害警戒区域の凡例は、2021年2月現在の情報です。2023年作成の図だから、すべての区域情報が同じ時点とは限りません。警戒区域、特別警戒区域、土砂災害危険箇所の記号を分けて読み、区域の更新や自宅付近の扱いが分からない場合は、市に確認します。
地震の揺れや液状化の図は、中央構造線活断層地震を対象としたものです。この図だけで、南海トラフ地震などすべての地震を確認したとは扱いません。想定した地震が何かを読み、施設一覧でも地震の列を別に確認します。
家族で避難先と経路を確認する
平時の確認では、地区の2種類の図を開き、河川の想定、過去の浸水実績、土砂災害の記号を分けて読みます。そのうえで、予定する施設の災害別の欄と利用階、家からそこまでの経路を確認してください。
地図の条件や避難施設について分からないときは、阿波市危機管理課(0883-36-8703)へ、地区名、見た図の種類、施設名を伝えます。「市場町の宮川内谷川について想定最大規模のどの図を使うか」「八幡公民館の河川の△と内水の×をどう使い分けるか」のように、確かめたい条件を具体化すると相談しやすくなります。
災害時は、古い地図の施設番号だけを頼りに出発せず、市の避難情報と実際の開設案内を確認します。家族の移動にかかる時間や必要な支援も含め、洪水・内水・土砂災害・地震それぞれの避難先を整理しておきましょう。