岩手県久慈市の災害リスク

この記事では、久慈市の地震・洪水・津波・土砂災害のリスクを、政府の公開データをもとにまとめています。防災DBでは、住所を入力するだけで6種類の災害リスクを無料で一括評価できます。久慈市内の詳しい住所単位のリスクを知りたい方は、ぜひご活用ください。

この記事でわかること

  • 久慈市の地震発生確率と地盤の特徴
  • 洪水浸水想定区域の範囲と想定浸水深
  • 津波浸水想定区域と想定される津波の高さ
  • 土砂災害警戒区域の数と過去の災害記録
  • 周辺の活断層の位置と想定マグニチュード
  • 避難施設・防災インフラの情報
  • 今日からできる災害別の具体的な備え

久慈市(岩手県)の人口は約29,642人(2025年推計)。標高は平均156.9mで、最低0.0mから最高855.8mの範囲です。

2040年には現在の60%程度まで人口が減少すると推計されており、災害時の共助体制の維持が課題となる地域です。


久慈市の災害リスクについて よくある疑問

Q. 久慈市は災害に強い街ですか? 弱い街ですか?

久慈市の主な災害リスクは、30年以内の震度6弱以上の発生確率が62.25%、市域の29.9%が洪水浸水想定区域、17.4%が津波浸水想定区域、土砂災害警戒区域が66箇所です。「強い・弱い」は一言で判断できるものではなく、住まう場所の標高・地盤・河川からの距離によって大きく変わります。本記事では6種類のハザードを数値で個別に解説しています。

Q. 「久慈市は危ない」「やばい」という声を見かけました。実際のところはどうですか?

「危ない」「やばい」「怖い」といった言葉は主観的な評価で、根拠となるデータが伴っていない場合もあります。久慈市の災害リスクを客観的に把握するには、全国地震動予測地図・洪水浸水想定区域図・津波浸水想定など政府が公開している一次データを参照するのが確実です。本記事ではこれらの公開データから、ハザードごとの具体的な数値と想定される被害の目安をまとめています。

Q. 久慈市に住む前、引っ越す前に確認しておくべきことは?

自宅や検討中の物件が次の区域に含まれるかを、自治体のハザードマップで確認することを推奨します。

  • 洪水浸水想定区域と想定浸水深
  • 津波浸水想定区域(沿岸部の場合)
  • 土砂災害(特別)警戒区域
  • 活断層からの距離

防災DBの住所検索では、住所を入力するだけで6種類の災害リスクを一括で数値化できます。


地震リスク

久慈市で今後30年以内に震度6弱以上の揺れが発生する確率は最大62.25%です(2024年版全国地震動予測地図)。

震度6弱は、立っていることが困難になり、固定していない家具の多くが倒れる揺れです。

表層地盤の平均S波速度(AVS30)は320.0m/sです。AVS30は地盤の硬さを示す指標で、数値が小さいほど地震の揺れが増幅されやすくなります。

久慈市のAVS30は300m/s以上で、比較的硬質な地盤のエリアです。地盤増幅率は1.41倍と比較的低く抑えられていますが、地震確率自体が高い場合は対策が必要です。

30年確率が26%以上と非常に高い値です。これは「30年間に震度6弱以上の揺れを経験する可能性が約4分の1以上」という意味です。耐震診断をまだ受けていない場合は、自治体の耐震診断補助制度の利用を検討してください。

今日からできる地震対策

  • 家具の転倒防止:突っ張り棒やL字金具で固定する。特に寝室の背の高い家具は最優先

  • 寝室の安全確認:本棚やタンスの近くで寝ない。倒れても体に当たらない配置に変える

  • 枕元の備え:スリッパ(ガラス破片対策)と懐中電灯を枕元に置く

  • 食器棚:ガラス飛散防止フィルムを貼る。扉が開かないよう留め具を取り付ける

  • 感震ブレーカー:地震後の通電火災を防ぐため、分電盤に設置を検討する


洪水リスク

久慈市では、4,756個の125mメッシュのうち1,422メッシュ(29.9%)が洪水浸水想定区域に含まれています。想定最大浸水深は10.0mです。

項目 データ
想定最大浸水深 10.0m
浸水想定メッシュ数 1,422 / 4,756 メッシュ(29.9%)
最大浸水継続時間 168時間(約7日間)
対象河川 久慈川、夏井川、宇部川、小屋畑川、長内川、鳥谷川(6河川)

想定最大浸水深が10.0mと、2階部分まで浸水が想定されるエリアがあります。自宅が浸水想定区域に含まれるかどうか、自治体のハザードマップで確認してください。1階に寝室がある場合は、大雨警報の発表時に2階以上へ移動する準備をしておくと安心です。

浸水継続時間が最大168時間(約7日間)と長期に及ぶ想定です。孤立に備えて、飲料水(1人1日3リットル)と食料を最低3日分、できれば1週間分備蓄しておくことをおすすめします。

今日からできる洪水対策

  • ハザードマップの確認:自治体のハザードマップで自宅の想定浸水深を確認する。「久慈市 ハザードマップ」で検索

  • 「川の防災情報」アプリ:国土交通省の公式アプリをスマホにインストールし、水位アラートを設定する

  • 避難の目安:水深が30cmを超えると車が動かなくなり、50cmを超えると大人でも歩行が困難になります。早めの避難判断を

  • 備蓄品の準備:飲料水・食料(7日分)、携帯トイレ、モバイルバッテリー、常備薬を2階以上に保管する


津波リスク

久慈市では、4,756メッシュのうち827メッシュ(17.4%)が津波浸水想定区域に含まれています。想定最大浸水深は20.0mです。

想定最大浸水深が20.0mと非常に高く、3階建て以上の建物でも安全とは限りません。津波警報が発表されたら、すぐに高台や津波避難ビルへ避難してください。沿岸部にお住まいの方は、自宅から最も近い高台への徒歩ルートを複数確認しておきましょう。車での避難は渋滞のリスクがあるため、徒歩での避難を基本としてください。

今日からできる津波対策

  • 避難ルートの確認:自宅・職場から最寄りの高台への徒歩ルートを実際に歩いて確認する

  • 「津波てんでんこ」:強い揺れを感じたら、津波警報を待たずに各自すぐ高台へ避難する。家族の集合場所は事前に決めておく

  • 津波避難ビルの把握:「久慈市 津波避難ビル」で検索し、日常の行動範囲内にある津波避難ビルを把握しておく

  • 第2波・第3波への備え:津波は繰り返し押し寄せ、第1波が最大とは限りません。警報が解除されるまで高台にとどまりましょう


土砂災害リスク

久慈市には66箇所の土砂災害警戒区域が指定されています(国土数値情報・土砂災害警戒区域データ)。4,756メッシュのうち214メッシュ(4.5%)がこれらの区域に含まれています。

過去の記録では、久慈市で4件の土砂災害が発生しています(国土数値情報・土砂災害履歴データ: がけ崩れ4件、土石流0件、地すべり0件)。

今日からできる土砂災害対策

  • 警戒区域の確認:「岩手県 土砂災害警戒区域マップ」で検索し、自宅が警戒区域に含まれるか確認する

  • 前兆現象を知る:がけ崩れの前兆は「小石がパラパラ落ちる」「がけに割れ目が見える」「がけから水が湧き出す」。1つでも気づいたらすぐに離れる

  • 避難のタイミング:土砂災害警戒情報が発表されたら、暗くなる前に避難する

  • 就寝時の備え:崖に面した部屋で寝ない。2階の崖と反対側の部屋で就寝することで、万一の場合でも生存率が上がる


活断層

久慈市の周辺には以下の活断層が確認されています(地震調査研究推進本部)。

断層名 久慈市からの距離 想定M
折爪断層 38.1km M7.0
花輪東断層帯 56.7km M6.5
滝沢鵜飼西断層(北上残部) 57.1km M6.9

地域の特徴

気候

項目 データ
年間降水量 1,193mm
1月平均気温 -1.4℃
8月平均気温 21.3℃
最深積雪 32cm
豪雪地帯区分 豪雪地帯

久慈市は豪雪地帯に指定されています。冬季は積雪による交通障害や建物への荷重に注意が必要です。除雪用具の準備や、屋根の雪下ろしの安全対策を確認しておきましょう。

土地利用

建物用地が12.8%、森林が65.0%、農地が18.1%を占めています。

人口集中地区(DID)

人口集中地区の人口は7,017人、人口密度は2,488人/km²です。


避難施設・防災インフラ

項目
避難施設 139箇所
消防署 3箇所
学校 30校
福祉施設 132施設
警察署 9箇所

最寄りの避難施設は「久慈市 避難場所」で検索して確認できます。日頃から自宅・職場から最寄りの避難場所への経路を確認しておきましょう。


久慈市の自然災害伝承碑

久慈市には、過去の災害を後世に伝える自然災害伝承碑が11基登録されています(国土地理院)。碑が記録する災害は、これから起こりうる災害への備えを考える上で重要な歴史資料です。

碑名 建立年 災害名 災害種別
昭和八年津浪記念碑 1934年 昭和三陸地震(1933年3月3日) 地震・津波
昭和八年津浪記念碑 1934年 昭和三陸地震(1933年3月3日) 地震・津波
海嘯紀念碑 1934年 明治三陸地震(1896年6月15日) 昭和三陸地震(1933年3月3日) 地震・津波
昭和八年津浪記念碑 1934年 昭和三陸地震(1933年3月3日) 地震・津波
昭和八年津浪記念碑 1934年 昭和三陸地震(1933年3月3日) 地震・津波
昭和八年津浪記念碑 1934年 明治三陸地震(1896年6月15日) 昭和三陸地震(1933年3月3日) 地震・津波
昭和八年津浪記念碑 1936年 昭和三陸地震(1933年3月3日) 地震・津波
津波記念碑 1971年 明治三陸地震(1896年6月15日) 昭和三陸地震(1933年3月3日) 地震・津波
津波襲来の碑 2012年 東日本大震災(2011年3月11日) 地震・津波
大津波記念碑 2014年 東日本大震災(2011年3月11日) 地震・津波
ケルン・鎮魂の鐘と光 2015年 東日本大震災(2011年3月11日) 地震・津波

伝承内容

昭和八年津浪記念碑(1934年建立)

昭和8年(1933)3月3日に発生した昭和三陸地震による旧侍浜村における津波被害の記録が刻まれている。旧侍浜村では約10mの津波が襲い、死者3名、行方不明者1名の被害が発生した。

  • 所在地: 岩手県久慈市侍浜町白前(県道侍浜夏井線脇)
  • 災害: 昭和三陸地震(1933年3月3日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.25679, 141.81475

昭和八年津浪記念碑(1934年建立)

昭和8年(1933)3月3日に発生した昭和三陸地震による旧侍浜村における津波被害の記録が刻まれている。旧侍浜村では約10mの津波が襲い、死者3名、行方不明者1名の被害が発生した。以前は浜の近くに設置されていたが、1979年に現在地に移設された。

  • 所在地: 岩手県久慈市侍浜町麦生(麦生農村センター)
  • 災害: 昭和三陸地震(1933年3月3日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.22530, 141.82528

海嘯紀念碑(1934年建立)

昭和8年(1933)3月3日に襲来した昭和三陸地震による津波で、旧夏井村では海岸一帯の漁舎は流失し甚大な損害となったが、過去の大津波と比べ死者1名、家屋の流失1戸にとどまった。明治29年(1896)の明治三陸地震による津波では今回の十数倍の高波が襲い、付近の住民と家畜の死傷200余り、住宅の流失400余りに及んだ。

  • 所在地: 岩手県久慈市夏井町
  • 災害: 明治三陸地震(1896年6月15日) 昭和三陸地震(1933年3月3日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.21136, 141.79115

昭和八年津浪記念碑(1934年建立)

昭和8年(1933)3月3日の昭和三陸地震による強震の後、遠くの海より爆音が聞こえた約30分後に津波が襲来し、一瞬にして多くの人命・財産が奪われた。旧宇部村では、死者9名、流失家屋4戸の被害が発生した。津波は周期的に襲来するので、被害地の住民はこの災害を思い出し、警戒する覚悟を持つこと。「強い地震は津浪の報せ」

  • 所在地: 岩手県久慈市宇部町(久喜・漁協久喜支所前)
  • 災害: 昭和三陸地震(1933年3月3日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.13454, 141.84687

昭和八年津浪記念碑(1934年建立)

昭和8年(1933)3月3日の昭和三陸地震による強震の後、遠くの海より爆音が聞こえた約30分後に津波が襲来し、一瞬にして多くの人命・財産が奪われた。旧宇部村では、死者9名、流失家屋4戸の被害が発生した。津波は周期的に襲来するので、被害地の住民はこの災害を思い出し、警戒する覚悟を持つこと。「強い地震は津浪の報せ」

  • 所在地: 岩手県久慈市宇部町(小袖)
  • 災害: 昭和三陸地震(1933年3月3日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.16710, 141.85216

昭和八年津浪記念碑(1934年建立)

昭和8年(1933)3月3日に発生した昭和三陸地震では、住民は津波が来ると判断して避難した。明治29年(1896)の明治三陸地震の津波に比べ、人や家畜の被害は少なかったが、船舶の破壊、納屋の流失は少なからずあった。その被害の対照についても記されている。

  • 所在地: 岩手県久慈市湊町(金刀比羅神社)
  • 災害: 明治三陸地震(1896年6月15日) 昭和三陸地震(1933年3月3日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.20320, 141.79188

昭和八年津浪記念碑(1936年建立)

昭和8年(1933)3月3日午前2時半に発生した昭和三陸地震では、突然の激しい波揺れとともに津波が襲来し、旧長内村の全漁村は甚大な被害を受け、溺死者10名、負傷者5名の被害が発生した。

  • 所在地: 岩手県久慈市長内町(諏訪神社入口)
  • 災害: 昭和三陸地震(1933年3月3日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.18858, 141.79568

津波記念碑(1971年建立)

自然災害の中で津波ほど悲惨なものはない。過去に久慈市に津波が襲来した記録は18回に及び、特に明治29年(1896)と昭和8年(1933)の津波では、死者総数538名、負傷者267名、家屋流失185戸の被害が発生した。市は災害から市民を守るため昭和38年(1963)に防波堤を構築した。

  • 所在地: 岩手県久慈市湊町(金刀比羅神社)
  • 災害: 明治三陸地震(1896年6月15日) 昭和三陸地震(1933年3月3日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.20277, 141.79185

津波襲来の碑 (2012年建立)

平成23年(2011)3月11日に発生した東日本大震災によって、防波堤を乗り越える大津波が当地区を襲った。久慈市では死者4名、行方不明者2名の人的被害があり、宇部地区では住家・非住家72棟が全壊した。

  • 所在地: 岩手県久慈市宇部町(小袖)
  • 災害: 東日本大震災(2011年3月11日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.16810, 141.85138

大津波記念碑(2014年建立)

平成23年(2011)3月11日の東日本大震災において、防波堤を乗り越える大津波が当地区を襲った。久慈市では死者4名、行方不明者2名の人的被害があり、宇部地区では住家・非住家72棟が全壊するなど、甚大な被害となった。この大災害と「大地震の後には津波に用心 直ちに近くの高台に避難」するよう後世に伝えるべく建立。

  • 所在地: 岩手県久慈市宇部町(久喜・漁協久喜支所前)
  • 災害: 東日本大震災(2011年3月11日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.13454, 141.84689

ケルン・鎮魂の鐘と光(2015年建立)

平成23年(2011)3月11日の東日本大震災の経験と教訓を後世に伝えるべく、地域の復興の標として建立。モニュメントの高さは久慈市を襲った津波高14.5mを参考に設計されている。説明板には過去に久慈地域を襲った、明治三陸地震津波(1896)や昭和三陸地震津波(1933)の津波高や死者数も記されている。

  • 所在地: 岩手県久慈市長内町第42地割(JC公園内)
  • 災害: 東日本大震災(2011年3月11日)
  • 災害種別: 地震・津波
  • 地図: 40.18973, 141.79813

出典: 国土地理院「自然災害伝承碑」(CC BY 4.0)


よくある質問

久慈市で大地震が起きる確率は?

今後30年以内に震度6弱以上の揺れが発生する確率は、久慈市内の最大値で62.25%です(2024年版全国地震動予測地図、防災科学技術研究所)。

久慈市は洪水の危険がある?

久慈市の4,756メッシュのうち1,422メッシュ(29.9%)が洪水浸水想定区域に含まれています。想定最大浸水深は10.0mです。お住まいの地域が浸水想定区域に含まれるかは、自治体のハザードマップで確認できます。

久慈市に津波は来る?

久慈市の827メッシュ(17.4%)が津波浸水想定区域に含まれています。想定最大浸水深は20.0mです。沿岸部にお住まいの方は、最寄りの高台や津波避難ビルを事前に確認しておきましょう。

久慈市の土砂災害警戒区域は?

久慈市には66箇所の土砂災害警戒区域が指定されています。お住まいの場所が警戒区域かどうかは、岩手県の土砂災害警戒区域マップで確認できます。

久慈市の避難場所はどこ?

久慈市には139箇所の避難施設があります。最寄りの避難場所は「久慈市 避難場所」で検索して確認できます。


まとめ:久慈市の防災で押さえておきたいこと

  • 地震:30年以内に震度6弱以上の確率が62.25%。家具の固定と耐震性の確認を

  • 洪水:1,422メッシュ(29.9%)が浸水想定区域。ハザードマップで自宅の浸水深を確認

  • 津波:想定最大20.0m。沿岸部では高台への避難経路を複数確認

  • 土砂災害:66箇所の警戒区域。大雨時は早めの避難を

防災DBでは、住所を入力するだけで地震・洪水・津波・土砂災害・高潮・液状化の6つの災害リスクを無料で一括評価できます。久慈市内の詳しい住所単位のリスクを確認してみてください。


データ出典: 全国地震動予測地図(防災科学技術研究所)、国土数値情報(国土交通省)、国勢調査(総務省)、土砂災害履歴(国土数値情報)。各データの詳細はデータソース一覧をご覧ください。